前(めえ)からぬ続(ちぢ)ち。

 組踊(くみうどぅい)や芝居(しばい、しばや)とぅ変(か)わてぃ、第一幕とぅか第二幕とぅかぬ幕(まく、まあく、しまい)やぬ無(ね)えらんあい、うぬ故(ゆい)に舞台後(くさあ)ぬ絵形(いいかた)ん、通(とぅう)ち、同(い、ゆ)ぬむんやいびいん。
 やいびしいが、見物人(ちんびちにん)や、何(ぬう)ぬ不足(ふすく)ん、不勝手(ぶかってぃ)ん、思(うみ)やびらん。

 背景(ぶてえくさあ)ぬ風景(ちしち)ん、人(ちゅ)ぬ動(んじゅ)ちゅしん、諸(むる)、見物人くるが、役者(やくしゃ)ぬ台詞(くち)とぅ胴持(どぅうむ)ち形(ない)、謡(じいうてえ)達ぬ歌(うた)、三味線(さんしん)、太鼓(てえく)ぬ音(うとぅ)びけん聴(ち)ち、舞台んじ、さっとおる人ん達ぬ動(んじゅ)ち走(は)い、出(ん)じかあ入(い)りかあんでえ、思寄(うみゆ)ゆくとうぅやいびいん。やいびいとぅ、なんくる、当(あ)たい前(めえ)ぬ事(くとぅ)さあに、役者あ口上手(くちじょうじ)、地謡さあや、歌上手(うたじょうじ)ならんでえならんないびいん。

 組踊や実(じゅん)に役者ぬ台詞、地謡ぬ音楽、見物人ぬ思寄(うみゆ)い力(でえ)さあに、なゆるむぬやいびいん。

 小説(しょうしち)ん映画(いいが、かあがあうどぅい)ん、読者(ゆまあ)、観客(ちんぶちさあ)んかい想像(うみゆい)しみゆるむぬ有(あ)しがどぅ、芸術(じいじち)とぅしちぇえぬ勝(すぐ)りとおん、言(い)らっとおいびいしが、組踊や、まさしく、んずみてぃ芸術性ぬ高さる芸能(じいのう)やんでぃ言ちん、言い過(くぁ)あや、あいびらん。
 
【語句】
前からぬ続ち=前回からのづき
組踊や芝居とぅ変わてぃ=組踊は芝居と違い
第一幕とぅか第二幕とぅかぬ幕やぬ無えらんあい=第一幕とか第二幕とかの幕はないし
うぬ故に舞台後ぬ絵形ん=これに連動して、舞台の背景も
通ち、同ぬむんやいびいん=ずっと、同じです。非丁寧文「~同ぬむんやん」。
やいびしいが、見物人や、何ぬ不足ん=ですが、観客は何の不満も
不勝手ん、思やびらん=不自由も感じません。非丁寧文「~思あん」。
背景ぬ風景ん、人ぬ動ちゅしん、諸、見物人くるが=背景の風景も登場人物の動きも、すべて観客自身が
役者ぬ台詞とぅ胴持ち形、地謡達ぬ歌=役者のセリフ、身のこなし、地謡の歌、
三味線、太鼓ぬ音びけん聴ち=三味線、太鼓の音だけを聴いて
舞台んじ、さっとおる人ん達ぬ動ち走い=舞台で繰り広げらる人々の立ち回り
出じかあ入りかあんでえ、思寄くとうぅやいびいん=目まぐるしく変わる場面を想像するからです。非丁寧文「~思寄くとぅやん」。
やいびいとぅ、なんくる、当たい前ぬ事さあに=ですから、自然に、当然のように
役者あ口上手、地謡さあや、歌上手ならんでえならんないびいん=役者はセリフ上手に地謡人は歌上手にならなければならないのです。非丁寧文「やくとぅ~」、「~なたんでえならん」。
組踊や実に役者ぬ台詞、地謡ぬ音楽=組踊は実に、役者のセリフ、地謡の音楽、
見物人ぬ思寄い力さあに、なゆるむぬやいびいん=観客の想像力で成り立つものなのです。非丁寧文「~むぬやん」。
小説ん映画ん、読者、観客んかい=小説も映画も読者や観客に
想像しみゆるむぬ有しがどぅ、芸術とぅしちぇえぬ勝りとおん=想像させる部分があってこそ、芸術性が高い、
んでぃ言らっとおいびいしが、組踊や、まさしく=と言われていますが、組踊は、まさに、非丁寧文「言らっとおしが~」。
んずみてぃ芸術性ぬ高さる芸能やんでぃ言ちん=極めて、芸術性が高い芸能であると言っても、
言い過あや、あいびらん=言い過ぎではありません。非丁寧文「~あらん」。
続ちゅん=つづく