「大川敵討(ううかあてぃちうち)」見(ん)ち肝(ちむ)ぬ思(うみ)たる事(くとぅ)ゆ、なあふぃん、うんぬきてぃなあびら。

 専門(しんむん)ぬ先生(しんしい)ん達(ちゃあ)んみそうちょおる事どぅやいやさびいしが、組踊(くみうどぅい)ぬ極(ちくり)やんでぃ言(い)しん済(し)まびいん。
 ただ、長(なが)さるびけえやあいびらん。
 物語(むががたい)ぬ根末(にいすら)あ、徒(ただ)真っ当ばあやあらんようい、色(いる)んな事ぬまちぶいあじてぃ、今(いま)めえぬ小説風儀(しょうっしちふうじい)またハリウッド映画風儀さあに、組み立てぃらっとおいびいん。
 
 一(てぃい)ちに、
 自(どぅう)ぬ子(くゎ)捨(し)てぃてぃ迄(までぃ)、君親(ちみうや)大川(ううかあ)ぬ産(な)し子、救(すく)い出(んじゃ)じゃさんでぃする乙樽(うとぅだる=村原ぬ妻、若君ぬ乳親)と村原ぬ諍(あらげ)えぬ混(ま)んちょおしえ、味方同士ぬ問答(むんどう)ふぃんどうなとおいびいん。
 続(ちぢちゅん)。

 二(たあち)に、
 敵方(てぃちがた)ん又(また)、谷茶按司(たんちゃあじ)とぅ谷茶ぬ臣下(しんか)満納、石川とぅぬ割(わ)りんあいびいん。村原ぬ妻(とぅじ)ぬ扱(あちけ)えぬ事なかい、乙樽ぬ影(かあぎ)んかい惚(ふ)りとおる谷茶按司とぅ、彼女(うり)ぬ来(ち)ゃしえ、敵(てぃち)ぬ物企(むんだく)んやあらんがあらんでぃ疑(うた)げえとおる臣下ぬ達とぅぬ言いがあ合(ええ)。

 続(ちじ)ちゅん。

【語句】
大川敵討、見ち肝ぬ思たる事ゆ=大川敵討を鑑賞して、感じたことを
なあふぃん、うんぬきてぃなあびら=さらに、述べてみます。
専門ぬ先生ん達んみそうちょおる事どぅやいやさびいしが=専門家も指摘していることなのですが、非丁寧文「~事どぅやしが」。
組踊ぬ極やんでぃ言しん済なびいん=(大川敵討は)組踊の最高傑作といってもよいでしょう。非丁寧文「~済むん」。
ただ、長さるびけえやあいびらん=いたづらに(物語が)長いというだけではありません。非丁寧文「~あらん」。
物語ぬ根末あ、徒だ真っ当ばあやあらんようい=物語の展開は単純・単調なのではなく
色んな事ぬまちぶいあじてぃ、今めえぬ小説風儀=さまざまな事が複雑に入り交じって、現代小説的で、
またハリウッド映画風儀さあに、組み立てぃらっとおいびいん=また現代ハリウッド映画並の構成になっています。非丁寧文「~組み立てぃらっとおん」。
一ちに=その一つに
自ぬ子、捨てぃてぃ迄、君親、大川ぬ産し子=自分の子を捨ててまで、主人、大川按司の若君を
救い出じゃさんでぃする乙樽(村原ぬ妻、若君ぬ乳親)と=奪い返そうとすする乙樽(村原の妻で若君の乳母)と
村原ぬ諍えぬ混んちょおしえ=(夫)村原との葛藤も入り込み、
味方同士ぬ問答ふぃんどうなとおいびいん=まさに味方同士(夫婦同士)の葛藤もあります。非丁寧文「~なとおん」。
二(たあち)に=その二つに
敵方ん又、谷茶按司とぅ谷茶ぬ臣下満納、石川とぅぬ=敵方もまた、谷茶按司と彼の家来の満納、石川との
割りんあいびいん=内部分裂もあります。非丁寧文「~あん」。
村原ぬ妻ぬ扱えぬ事なかい=村原の妻の処遇をめぐって、
乙樽ぬ影んかい惚りとおる谷茶按司とぅ=彼女(乙樽)の美貌に惚れ込んだ谷茶按司と
彼女ぬ来ゃしえ、敵ぬ物企んやあらんがあらんでぃ=彼女が乗り込んできたのは、敵の陰謀ではないかと、
疑げえとおる臣下ぬ達とぅぬ言いがあ合=疑っている家来たちとの言い争い。
続ちゅん=続く