うちなあぐち日記

うちなあぐちえ 聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ

2019年04月

前(めえ)からぬ続(ちぢ)ち。

 組踊(くみうどぅい)や芝居(しばい、しばや)とぅ変(か)わてぃ、第一幕とぅか第二幕とぅかぬ幕(まく、まあく、しまい)やぬ無(ね)えらんあい、うぬ故(ゆい)に舞台後(くさあ)ぬ絵形(いいかた)ん、通(とぅう)ち、同(い、ゆ)ぬむんやいびいん。
 やいびしいが、見物人(ちんびちにん)や、何(ぬう)ぬ不足(ふすく)ん、不勝手(ぶかってぃ)ん、思(うみ)やびらん。

 背景(ぶてえくさあ)ぬ風景(ちしち)ん、人(ちゅ)ぬ動(んじゅ)ちゅしん、諸(むる)、見物人くるが、役者(やくしゃ)ぬ台詞(くち)とぅ胴持(どぅうむ)ち形(ない)、謡(じいうてえ)達ぬ歌(うた)、三味線(さんしん)、太鼓(てえく)ぬ音(うとぅ)びけん聴(ち)ち、舞台んじ、さっとおる人ん達ぬ動(んじゅ)ち走(は)い、出(ん)じかあ入(い)りかあんでえ、思寄(うみゆ)ゆくとうぅやいびいん。やいびいとぅ、なんくる、当(あ)たい前(めえ)ぬ事(くとぅ)さあに、役者あ口上手(くちじょうじ)、地謡さあや、歌上手(うたじょうじ)ならんでえならんないびいん。

 組踊や実(じゅん)に役者ぬ台詞、地謡ぬ音楽、見物人ぬ思寄(うみゆ)い力(でえ)さあに、なゆるむぬやいびいん。

 小説(しょうしち)ん映画(いいが、かあがあうどぅい)ん、読者(ゆまあ)、観客(ちんぶちさあ)んかい想像(うみゆい)しみゆるむぬ有(あ)しがどぅ、芸術(じいじち)とぅしちぇえぬ勝(すぐ)りとおん、言(い)らっとおいびいしが、組踊や、まさしく、んずみてぃ芸術性ぬ高さる芸能(じいのう)やんでぃ言ちん、言い過(くぁ)あや、あいびらん。
 
【語句】
前からぬ続ち=前回からのづき
組踊や芝居とぅ変わてぃ=組踊は芝居と違い
第一幕とぅか第二幕とぅかぬ幕やぬ無えらんあい=第一幕とか第二幕とかの幕はないし
うぬ故に舞台後ぬ絵形ん=これに連動して、舞台の背景も
通ち、同ぬむんやいびいん=ずっと、同じです。非丁寧文「~同ぬむんやん」。
やいびしいが、見物人や、何ぬ不足ん=ですが、観客は何の不満も
不勝手ん、思やびらん=不自由も感じません。非丁寧文「~思あん」。
背景ぬ風景ん、人ぬ動ちゅしん、諸、見物人くるが=背景の風景も登場人物の動きも、すべて観客自身が
役者ぬ台詞とぅ胴持ち形、地謡達ぬ歌=役者のセリフ、身のこなし、地謡の歌、
三味線、太鼓ぬ音びけん聴ち=三味線、太鼓の音だけを聴いて
舞台んじ、さっとおる人ん達ぬ動ち走い=舞台で繰り広げらる人々の立ち回り
出じかあ入りかあんでえ、思寄くとうぅやいびいん=目まぐるしく変わる場面を想像するからです。非丁寧文「~思寄くとぅやん」。
やいびいとぅ、なんくる、当たい前ぬ事さあに=ですから、自然に、当然のように
役者あ口上手、地謡さあや、歌上手ならんでえならんないびいん=役者はセリフ上手に地謡人は歌上手にならなければならないのです。非丁寧文「やくとぅ~」、「~なたんでえならん」。
組踊や実に役者ぬ台詞、地謡ぬ音楽=組踊は実に、役者のセリフ、地謡の音楽、
見物人ぬ思寄い力さあに、なゆるむぬやいびいん=観客の想像力で成り立つものなのです。非丁寧文「~むぬやん」。
小説ん映画ん、読者、観客んかい=小説も映画も読者や観客に
想像しみゆるむぬ有しがどぅ、芸術とぅしちぇえぬ勝りとおん=想像させる部分があってこそ、芸術性が高い、
んでぃ言らっとおいびいしが、組踊や、まさしく=と言われていますが、組踊は、まさに、非丁寧文「言らっとおしが~」。
んずみてぃ芸術性ぬ高さる芸能やんでぃ言ちん=極めて、芸術性が高い芸能であると言っても、
言い過あや、あいびらん=言い過ぎではありません。非丁寧文「~あらん」。
続ちゅん=つづく

 さてぃ、『大川敵討(ううかあてぃちうち)』ぬ見所(みいどぅくる)、うんにゅきてぃ来(ち)ゃあびたしが、見(ん)ちちゃる通(とぅう)い、芝居(しばい)ぬ手本(てぃふん)とぅんなたるびけえのあいびらな、民謡(ふぁうた、はうた)んかいん、響(ふぃび)ちょおいびいん。

うぬ一(てぃい)ちえ、
 名(なえ)得(い)いらっとおる前川朝昭作詞ぬ「兄弟小節(ちょうでえぐゎあぶし)」ぬ歌詞んかい「行逢(いちゃ)りば兄弟(ちょうでえ)、何(ぬ)隔(ひ)てぃぬあが」んでぃぬ歌詞ぬあいびいしが、『大川敵討』ぬ泊ぬ村原んかい言(ゆ)る詞(くち)んかい「ああ、いきやへは、兄弟、何(のを)うち隔のあが」(口語音=ああ、いちぇええわ、ちょうでえ、ぬ、ふぃだてぃぬあが)から抜(ぬ)じぇえるむんやいびいん。

また、うぬ二(たあ)ちえ、
 くりんまた名ぬある端歌やいびいしが、伊良波伊吉作詞ぬ「情(なさき)の歌(うた)」んかい、「昔(んかし)、聖者(ふりむん)ぬ言(い)ちぇる事(くとぅ)守(まむ)て、義理(じり)てしや何(ぬ)やが」んでぃあいびいん。くりん、『大川敵討』ぬ谷茶(たんちゃ)ぬ詞)んかいある「昔ふれ者の言ちゃること守て、浮世暮されめ」(口語=んかし、ふりむんぬいちゃるくとぅ、まむてぃ、うちゆ、くらさりみ)から抜じぇえるむぬやんでぃち、分(わ)かやびいん。

 聞(ち)ち慣(な)りたる詞がやたら、あらんでえ、組踊(くみをぅどぅい)らあさん無(ね)ら詞やんでぃが思(うむ)とおみせえたらあ、舞台(ばんく)からうぬ詞ぬ聴(ち)かりやびたくとぅ、座(ざあ)ぬ人(ちゅ)ん達(ちゃあ)から笑(われ)え声(ぐぃい)ぬ湧上(わちゃ)がやびたん。

 うんな事ん、『大川敵討』ぬ詞ぬ話し言葉(くとぅば)んかい近(ちか)さくとぅどぅやら筈(はじ)んでぃ思(うむ)やびいん。
 
続ちゅん。

【語句】
民謡んかい響ちゃる『大川敵討』=民謡にも影響した『大川敵討』
さてぃ、『大川敵討』ぬ見所、うんにゅきてぃ=さて、『大川敵討』の見所を述べて、
来ゃあびたしが、見ちちゃる通い、芝居ぬ手本とぅん=きましたが、見てきた通り、芝居の手本とも、非丁寧文「来ゃしが~」。
なたるびけえのあいびらな=なったばかりでありませんで、非丁寧文「~びけえのおあらな」。
民謡んかいん、響ちょおいびいん=民謡にも影響を与えています。非丁寧文「~響ちょおん」。
うぬ一ちえ=その一つに
名得いらっとおる前川朝昭作詞ぬ「兄弟小節」ぬ=有名な前川朝昭作詞の「兄弟小節」の
歌詞んかい「行逢りば兄弟、何隔てぃぬあが」んでぃぬ=歌詞に「出逢えば兄弟、何の分け隔てがあるものか」との
歌詞ぬあいびいしが、『大川敵討』ぬ泊ぬ=歌詞がありますが、『大川敵討』の泊の、非丁寧文「歌詞ぬあしが~」。
村原んかい言る詞んかい=村原に言うセリフの
「ああ、いきやへは、兄弟、何うち隔のあが」=「ああ、出逢えば兄弟、何の分け隔てがあるものか」、註「うち隔て」の「うち」は強調を表す接頭語。語句によっては「打ち」を当てることもあります。
(口語音=ああ、いちぇええわ、ちょうでえ、ぬ、ふぃだてぃぬあが)
から抜(ぬ)じぇえるむんやいびいん=からとったものです。非丁寧文「~むんやん」。
また、うぬ二ちえ=また、その二つに、
くりんまた名ぬある端歌やいびいしが=これもまた、有名な民謡ですが、非丁寧文「~端歌やしが」。
伊良波伊吉作詞ぬ「情の歌」んかい=伊良波伊吉作詞の「情の歌」に
「昔、聖者ぬ言ちぇる事守て、義理てしや何やが」=「昔、糞真面目な者が言った事を守って、(では一体)義理とうものは何なのか」、注:「ふりむん」は「気狂い、バカ者」という意味の他、「バカ正直、糞真面目」という意味もあるので、作詞者は「聖者」を当てているのでしょう。
んでぃあいびいん=とあります。非丁寧文「んでぃあん」。
くりん、『大川敵討』ぬ谷茶ぬ詞んかいある=これも、『大川敵討』の谷茶のセリフにある
「昔ふれ者の言ちゃること守て、浮世暮されめ」=「昔、バカ正直者の言った事を守って、俗世界で暮らしていけるか」
(口語=んかし、ふりむんぬいちゃるくとぅ、まむてぃ、うちゆ、くらさりみ)
から抜じぇえるむぬやんでぃち、分かやびいん=からとったものだとわかります。非丁寧文「~分かるゆん」。
聞ち慣りたる詞がやたら、あらんでえ=聞きなれたセリフだからだったのか、あるいは、
組踊らあさん無ら詞やんでぃが思とおみせえたらあ=(格調高い)組踊らしくないセリフだと思ってだたのか、非敬語「~思とおたらあ」。
舞台からうぬ詞ぬ聴かりやびたくとぅ、座ぬ人ん達から=舞台からそのセリフが聞こえましたので、聴衆から 非丁寧文「~聴かりたくとぅ」。
笑え声ぬ湧上がやびたん=笑い声が沸き起こりました。非丁寧文「~湧上がたん」。
うんな事ん、『大川敵討』ぬ詞ぬ話し言葉んかい=そんな現象も『大川敵討』のセリフが(今の)話し言葉に
近さくとぅどぅやら筈んでぃ思やびいん=近いからなのだろうと思います。非丁寧文「~思ゆん」。

前(めえ)ぬ記事(ちじ)からぬ続(ちじ)ち

三(みい)ちに
 後(あとぅ)じいぬ敵討(てぃちうち)ぬ場面まんぐらあからあ、原国兄弟(はらぐにちょうでえ)んでえ、出(ん)じゆる人(ちゅ)ぬ多(うほう)くなてぃ来(ち)ゅうしん、他(ふか)ぬ組踊(くみをぅどぅい)と変(か)わとおいびいん。ただ、今(なま)小説とぅか映画ねえし、前予(めえかに)てぃぬ徴(しるし)ん見(み)しらんようい、出(ん)じゃすせえ、今前(いまめえ)やあらのおあいびんしが…。

 原国兄弟ぬ谷茶按司、討ちゅる話や、玉城朝薫世(たまぐしくちょうくんゆう)ぬ「二童敵討」んかい、いやでぃん似(い)したるむぬがやら分かやびらん。

四(ゆう)ちに
 乙樽(うとぅだる)とぅ谷茶(たんちゃ)ぬ言(い)ちゃい外(は)んちゃいぬ差(さ)し詰(ち)まいとぅ可笑(うか)しさぬ違(ちが)うるうさあに、混(まん)きらっとおる所(とぅくる)お、後々(あとぅあとぅ)、悲劇ぬ中(なあか)んかい喜劇ぬ混んち行ちゅる沖縄芝居(うしなあしばい)ぬ形枕(かたまっくゎ)とぅなてぃ行(ん)じゃる風儀(ふうじ)ぬある事やいびいん。

五(いち)ちに
 乙樽ぬ使(ちけ)えやる泊(とぅまい)とぅ敵(てぃち)ぬ城(ぐしく)んかい、押(う)し入(い)っちゃる乙樽ぬ分かしみ、窺(うか)がてぃ歩(あ)っちょおたる村原(むらばる)とぅぬ言ちゃい外んちゃいかいん、今(なま)ぬ沖縄語(うちなあぐち)とぅ、なんぞお変わらんあい、今前ぬ芝居ぬ手本(てぃふん)とぅなてぃが居らんわかやびらん。

続ちゅん。

【語句】
前ぬ記事からぬ続ち=前の記事からの続き
三ちに=三つに
後じいぬ敵討ぬ場面まんぐらあからあ=後半の敵討の場面あたりからは
原国兄弟んでえ、出じゆる人ぬ多くなてぃ来ゅうしん=原国兄弟など登場人物が多くなてくるのも
他ぬ組踊と変わとおいびいん=他の組踊と(構成)が違います。非丁寧文「~変わとおん」。
ただ、今ぬ小説とぅか映画ねえし、前予てぃぬ徴ん=ただ、現代小説や映画のような伏線も
見しらんようい、出じゃすせえ=敷かずに登場させるのは、
今前やあらのおあいびんしが…=現代的ではありませんが…。非丁寧文「~あらのおあしが…」。
原国兄弟ぬ谷茶按司、討ちゅる話や=原国兄弟が谷茶按司を討つ話は
玉城朝薫世ぬ「二童敵討」んかい=玉城朝薫時代の「二童敵討」に
いやでぃん似したるむぬがやら分かやびらん=きっと似せたのかも知れません。非丁寧文「~分からん」。
四ちに=四つに
乙樽とぅ谷茶ぬ言ちゃい外んちゃいぬ=乙樽と谷茶の会話が
差し詰まいとぅ可笑しさぬ違うるうさあに=緊迫感とユーモラスが交互に
混きらっとおる所お、後々=織り交ぜられているところは、後世の
悲劇ぬ中んかい喜劇ぬ混んち行ちゅる沖縄芝居ぬ形枕とぅ=悲劇の中に喜劇を織り込む沖縄芝居の原型と
なてぃ行じゃる風儀ぬある事やいびいん=なっていったかも知れないことです。非丁寧文「~事やん」。
五ちに=五つに
乙樽ぬ使えやる泊とぅ敵ぬ城んかい、押し入っちゃる=乙樽の使者である泊と敵城に乗り込んだ
乙樽ぬ分かしみ、窺がてぃ歩っちょおたる村原とぅぬ=乙樽の状況を把握しようと尋ね回っていた村原との
言ちゃい外んちゃいかいん、今ぬ沖縄語とぅなんぞお変わらんあい=会話も現代の沖縄語とそれほど変わらいないし
今前ぬ芝居ぬ手本とぅなてぃが居らんわかやびらん=現代芝居に影響を与えたかも知れません。非丁寧文「~わからん」。
続ちゅん=つづく。

 「大川敵討(ううかあてぃちうち)」見(ん)ち肝(ちむ)ぬ思(うみ)たる事(くとぅ)ゆ、なあふぃん、うんぬきてぃなあびら。

 専門(しんむん)ぬ先生(しんしい)ん達(ちゃあ)んみそうちょおる事どぅやいやさびいしが、組踊(くみうどぅい)ぬ極(ちくり)やんでぃ言(い)しん済(し)まびいん。
 ただ、長(なが)さるびけえやあいびらん。
 物語(むががたい)ぬ根末(にいすら)あ、徒(ただ)真っ当ばあやあらんようい、色(いる)んな事ぬまちぶいあじてぃ、今(いま)めえぬ小説風儀(しょうっしちふうじい)またハリウッド映画風儀さあに、組み立てぃらっとおいびいん。
 
 一(てぃい)ちに、
 自(どぅう)ぬ子(くゎ)捨(し)てぃてぃ迄(までぃ)、君親(ちみうや)大川(ううかあ)ぬ産(な)し子、救(すく)い出(んじゃ)じゃさんでぃする乙樽(うとぅだる=村原ぬ妻、若君ぬ乳親)と村原ぬ諍(あらげ)えぬ混(ま)んちょおしえ、味方同士ぬ問答(むんどう)ふぃんどうなとおいびいん。
 続(ちぢちゅん)。

 二(たあち)に、
 敵方(てぃちがた)ん又(また)、谷茶按司(たんちゃあじ)とぅ谷茶ぬ臣下(しんか)満納、石川とぅぬ割(わ)りんあいびいん。村原ぬ妻(とぅじ)ぬ扱(あちけ)えぬ事なかい、乙樽ぬ影(かあぎ)んかい惚(ふ)りとおる谷茶按司とぅ、彼女(うり)ぬ来(ち)ゃしえ、敵(てぃち)ぬ物企(むんだく)んやあらんがあらんでぃ疑(うた)げえとおる臣下ぬ達とぅぬ言いがあ合(ええ)。

 続(ちじ)ちゅん。

【語句】
大川敵討、見ち肝ぬ思たる事ゆ=大川敵討を鑑賞して、感じたことを
なあふぃん、うんぬきてぃなあびら=さらに、述べてみます。
専門ぬ先生ん達んみそうちょおる事どぅやいやさびいしが=専門家も指摘していることなのですが、非丁寧文「~事どぅやしが」。
組踊ぬ極やんでぃ言しん済なびいん=(大川敵討は)組踊の最高傑作といってもよいでしょう。非丁寧文「~済むん」。
ただ、長さるびけえやあいびらん=いたづらに(物語が)長いというだけではありません。非丁寧文「~あらん」。
物語ぬ根末あ、徒だ真っ当ばあやあらんようい=物語の展開は単純・単調なのではなく
色んな事ぬまちぶいあじてぃ、今めえぬ小説風儀=さまざまな事が複雑に入り交じって、現代小説的で、
またハリウッド映画風儀さあに、組み立てぃらっとおいびいん=また現代ハリウッド映画並の構成になっています。非丁寧文「~組み立てぃらっとおん」。
一ちに=その一つに
自ぬ子、捨てぃてぃ迄、君親、大川ぬ産し子=自分の子を捨ててまで、主人、大川按司の若君を
救い出じゃさんでぃする乙樽(村原ぬ妻、若君ぬ乳親)と=奪い返そうとすする乙樽(村原の妻で若君の乳母)と
村原ぬ諍えぬ混んちょおしえ=(夫)村原との葛藤も入り込み、
味方同士ぬ問答ふぃんどうなとおいびいん=まさに味方同士(夫婦同士)の葛藤もあります。非丁寧文「~なとおん」。
二(たあち)に=その二つに
敵方ん又、谷茶按司とぅ谷茶ぬ臣下満納、石川とぅぬ=敵方もまた、谷茶按司と彼の家来の満納、石川との
割りんあいびいん=内部分裂もあります。非丁寧文「~あん」。
村原ぬ妻ぬ扱えぬ事なかい=村原の妻の処遇をめぐって、
乙樽ぬ影んかい惚りとおる谷茶按司とぅ=彼女(乙樽)の美貌に惚れ込んだ谷茶按司と
彼女ぬ来ゃしえ、敵ぬ物企んやあらんがあらんでぃ=彼女が乗り込んできたのは、敵の陰謀ではないかと、
疑げえとおる臣下ぬ達とぅぬ言いがあ合=疑っている家来たちとの言い争い。
続ちゅん=続く

 越(くぃ)た月(ちち)ぬ29日(にち)、琉球新報ホール於(をぅ)てぃ、組踊(くみうどぅい)「大川敵討(ううかあてぃうち)」耳薬(みみぐすい)し、来(ち)ゃあびたん。
 三年(んちゅ)首尾(しゅび)しちゃる新報社屋(しゃや)ぬ首尾備御祝(しゅびうゆゑえ)ぬ催(むゆう)し物(むん)ぬ一(てぃ)いちとぅしちぬむぬやいびいたん。
 
 「大川敵討」や組踊ぬ中(なか、なあか)んじん一番(いっちん)、長(なが)さい、また、んずみてぃ、長さる口(くち)んあいびいん。ただんちょうん、難(むち)かまらさる組踊やいびいしが、プログラムぬ案内(あんねえ)なかいや若手(わかむんちゃあ)ぬ望(ぬずみ)なかいすんでぃち、あいびいたん。
 
 今(なま)あ、我(わあ)が知(し)っちょおる限(かじ)りなかいや、男(ゐきが)やれえ、いいくる声変(くぃいが)あいし後(あとぅ)から、沖縄声(うちなあぐぃい)しいゆすい、語韻(ぐいん)にちいてえ、何(ぬう)ん、心配(しわ)あ、せえ居(をぅ)いびらんたしが、ちゃんとぅ、口ん覚(うび)いてぃ、組踊らあしゃる胴持(どぅうむ)ち形(ない)ぬないがやあんでぃ思(うむ)とおいびいたしが、上(うゎあ)ば思(うみ)いどぅやいびいたる。

 また、士族発音ぬんなとおいびいたん。例(たとぅ)れえ、開音「す」や「すぃ」、「つ」や「つぃ」んでぃち、「し」とぅ「ち」とおちゃんとぅ、差し分きらっとおいびいたん。

 伝統組踊保存会ぬ兄者方(しいざかた)あ、実(じゅん)に、能(ゆ)う習(なら)あちゃんでぃ、思てぃ、肝(ちむ)ふぃじょういびいん。
 
 実に聞(ち)ちぐとぅやいびいたん。いっぺえ、にふぇえでえびる。

【語句】
越た月ぬ29日、琉球新報ホール於てぃ=先月29日、琉球新報ホールで
組踊「大川敵討」耳薬し、来ゃあびたん=組踊「大川敵討」を鑑賞してきました。非丁寧文「~来ゃん」。
三年、首尾しちゃる新報社屋ぬ首尾備御祝ぬ催し物ぬ=三年前に落成した社屋の落成祝賀の催し物の
一いちとぅしちぬむぬやいびいたん=一つとして公演でした。非丁寧文「~むぬやたん」。
「大川敵討」や組踊ぬ中んじん一番、長さい=「大川敵討」は組踊の中でも最も長く
また、んずみてぃ、長さる口んあいびいん=また、きわめて、長いセリフもあります。非丁寧文「~口んあん」。
ただんちょうん、難かまらさる組踊やいびいしが=ただでさえ、難しくわずらわしそうな組踊ですが、非丁寧文「~組踊やしが」。
プログラムぬ案内なかいや若手ぬ=プログラムの案内文には若手が
望なかいすんでぃち、あいびいたん=挑戦するとありました。非丁寧文「~あたん」。
今あ、我が知っちょおる限りなかいや=今は私が知る限りでは
男やれえ、いいくる声変あいし後から=男なら、だいたい、変声後、
沖縄声しいゆすい、語韻にちいてえ、何ん=沖縄語的発声ができるし、声質については、何ら、
心配あ、せえ居いびらんたしが、ちゃんとぅ=心配はしていませんでしたが、ちゃんと、非丁寧文「~居居らんたしが」。
口ん覚いてぃ、組踊らあしゃる胴持ち形ぬないがやあんでぃ=セリフも覚られて、組踊らしい身のこなしができるだろうかと、
思とおいびいたしが、上ば思いどぅやいびいたる=思っていましたが、杞憂でした。非丁寧文「思とおたしが」、「~思いどぅやたる」。
また、士族発音ぬんなとおいびいたん=また、士族発音もできていまさした。非丁寧文「~なとおたん」。
例れえ、開音「す」や「すぃ」=例えば、開音「す」(に由来する「し」)は「すぃ」
「つ」や「つぃ」んでぃち=(同じく)開音「つ」に由来する「ち」)は「つぃ」と、
「し」とぅ「ち」とお、ちゃんとぅ、差し分きらっとおいびいたん=「し」「つ」とはきちんと、区別されていました。非丁寧文「~差し分きらっとおたん」。
伝統組踊保存会ぬ兄者方あ、実に、能う習あちゃんでぃ=伝統組踊保存会の先輩諸氏は実にうまく指導されていると、
思てぃ、肝ふぃじょういびいん=感心し満足しています
実に聞ちぐとぅやいびいたん。いっぺえ、にふぇえでえびたん=本当に素晴らしかったです。ありがとうございました。非丁寧文「~聞ち事やたん」。

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