うちなあぐち日記

うちなあぐちえ 聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ

2015年10月

 今(なま)あ、なあ、いいくる無(ね)えらんなとおる風儀(ふうじ)やいびいしが、我(わ)っ達(たあ)が、童(わらび)やるばす迄(まで)え、赤(あか)ん子(ぐぁ)ぬ産(ん)まりてぃから、七日(なぬか)ぬ日(ふぃい、ひ)ねえ、満産祝儀(まんさんしゅうじ、まんさんすうじ)さびいたん。

 やいびいしが、うぬ「満産」にちいてぃ、『沖縄語辞典』ぬんかいや、「子供が生まれて七日目の夜」ぬ祝えんでぃちる書かっとおいびいる。首里(しゅい)ぬ風儀(ふうじ)とぅ田舎(地方、中頭、島尻)とお、風儀とお変わてぃが居(をぅ)らあ、『辞典』ぬ書ちい様や肝(ちむ)ふぃがんむんやいびいん。

 与勝まんぐらぬ満産祝儀え、昼(ふぃる、ひる)からさびいん。先(ま)じえ、庭(なあ)ぬ土(んちゃ)、鍬(くぇえ)さあに、一(ちゅ)けんびけえ、返(けえ)ち、うぬ侭(まあまあ、まま)置(う)っちょおちゃびいん。
 あんし、赤ん子、二番座(にばんざあ)んかい寝(に)んしやあに、胴(どぅう)ぬ上辺(うゎあび)んかい、女(ゐなぐ、いあなぐ)ぬパンツ被(かん)してぃ、又、うぬ上んかい、鍬(くぇえ)ぬ木(きい)ぬ枝(ゆだ)し、作(つく)てえる弓(ゆみ)置(う)ちゃびいん。あんし、前予(めえかに)てぃ掴(か)ちみてえたる飛蝗(せえ)、赤ん子ぬ胴から飛ばさびいん。
 
 うぬ後(やたんでぃ思やびいしが)、胴ぬ上から、弓矢、庭んかい向(ん)きてぃ、射(い)やびいん。

 桑木や、雷(がんない)ぬ恐(うとぅる)さすんでぃぬ伝(ちて)え話んあてぃ、桑木ぬ弓え、物除きむんとぅしちぬ積合(ちむええ)んあくとぅやいびいん。
 
 くんなむん、し後(あとぅ)からどぅ、満産祝儀えさびいる。何(ぬう)ん、夜(ゆる)びけえんぬ祝儀えあいびらん。
 うん如(ぐとぅ)うし、沖縄ぬ風儀え、色々(いるいる)あいびいくとぅどぅ、書ちなあびたる。


【語句】
今あ、なあ、いいくる無えらんなとおる風儀やいびいしが=今はもう、衰退している様ですが、非丁寧文「~風儀やしが」。
我っ達が、童やるばす迄え、赤ん子ぬ産まりてぃから=私どもが子供の頃までは、子供が生まれてから
七日ぬ日ねえ、満産祝儀さびいたん=七日目には「満産祝い」(というの)をしたものです。非丁寧文「~祝儀さん」。
やいびいしが、うぬ「満産」にちいてぃ、『沖縄語辞典』ぬんかいや=ですが、その「満産」について、『沖縄語辞典』には
「子供が生まれて七日目の夜」ぬ祝えんでぃちる書かっとおいびいる=「子供が生まれて七日目の夜」のお祝いとしか、記述されていません。非丁寧文「~書かっとおる」。
首里ぬ風儀とぅ田舎(地方、中頭、島尻)ぬ風儀とお=首里の習慣と地方の習慣は
変わてぃが居らあ、『辞典』ぬ書ちい様や肝ふぃがんむんやいびいん=違っているらしく、『辞典』の書き方には満足できません。非丁寧文「~肝ふかんむぬやん」。
与勝まんぐらぬ満産祝儀え、昼からさびいん=与勝辺りでは、満産祝いは昼から行います。非丁寧文「~昼からすん」。
先じえ、庭ぬ土、鍬さあに、一けんびけえ、返ち=まずは、庭の土に一鍬入れて、
うぬ侭置ちょおちゃびいん=そのままにしておきます。非丁寧文「~置ちょおちゅん」。
あんし、赤ん子、二番座んかい寝んしやあに、胴ぬ上辺んかい=そして、赤子を二番座(或いは一番座だったか?)に寝かせて、体の上に
女ぬパンツ被してぃ、又、うぬ上んかい、鍬ぬ木ぬ枝し=女のパンツを被せ、その上に桑の木の枝で、 ???但し、パンツは近年のものですので、昔は「前ちゃあ」(女性用ふんどし)だったのでしょうか??
作てえる弓を置ちゃびいん=置きます。非丁寧文「~置ちゅん」。
あんし、前予てぃ掴ちみてえたる飛蝗、赤ん子ぬ胴から飛ばさびいん=そして、予め、獲っておいたバッタを赤子の体から飛ばします。非丁寧文「~飛ばすん」。
うぬ後(やてんでぃ思やびいしが)、胴ぬ上から=そのあと(だったと思うのですが)、赤子の体の上から、非丁寧文「~思ゆしが」。
弓矢、庭んかい向きてぃ、射やびいん=弓矢を庭に向けて射ます
桑木や、雷ぬ恐さすんでぃぬ伝え話んあてぃ=桑木は雷が恐がるという伝説もあり、
桑木ぬ弓え、物除きむんとぅしちぬ積合んあくとぅやいびいん=桑木の弓は、魔除けとしての意味があるからです。非丁寧文「~積合んあくとぅやん」。
くんなむん、し後からどぅ、満産祝儀えさびいる=こういう事をして後に、御祝いはするのです。非丁寧文「~祝えする」。
何ん、夜びけえんぬ祝儀えあいびらん=何も夜だけのお祝い事ではないのです。
うん如うし、沖縄ぬ風儀え、色々あいびいくとぅどぅ、書ちなあびたる=このように、沖縄の習俗は、様々だからこそ、これを書いてみたのです。

 例(たとぅ)れえ、人(ちゅ)ぬ名(なあ)ぬ太郎や、「たるう」んでぃん言い、「たらあ」んでぃん言ゃびいん。
 いいくる言葉(くとぅば)ぬ尻(ちび)ぬ「あ」なとおしえ、卑(や)な語(ぐち)(又、愛(かな)さ語(くとぅば)んいびいしが…)やる風儀(ふうじ)やいびいしが、今(なま)あ、「たらあ」んでぃ言ちん、誰(たあ)ん卑な語(又愛さ語)やんでえ、思(うみ)いんさびらん。
 あんしいねえ、次郎(じらあ)、三郎(さんだあ、さんらあ)ぬまっとうばぬ名や「じるう」、「さんるう、さんどぅう」どぅやるいんでぃぬ話(はんしい)んかいんなてぃ来(ち)ゃあびいしが、うん如(ぐと)おる名や、なあ聞(ち)ちん、んだんあい、又、うん如うし、考(かんげ)えゆる事(くと)お、さんなとおいびいん。
 
 我(わあ)が童(わらび)ぬばすお、喧嘩虫(おおいむし)ぬ喰(く)ういねえ、いいくる、相手(ええてぃ)ぬ名や、例れえ、「ひろし」やれえ、「ひろさあ」、「まさお」やれえ、「まさ あ」んでぃち、なやびたん。

 大概(てえげえ)や、人ぬ名ぬ尻、「~あ」さあに、叫びゆんねえ、ないねえ、なあ、悪くい物言いびけんかけえなてぃ、何(ぬう)ん愛さな言葉んかいやないびらん。

 やいびいしが、今(なま)あ、うんな話さんてえまん、厳重(じんじゅう)さんでぃ、思(うむ)ゆる人お、居(をぅ)いびらん。やせえやいびいしが、分かてぃん、使(ちか)らんせえ、ましやびいる事(くと)お、当たい前(めえ)ぬ事(くとぅ)やいびいん。

【語句】
例(たとぅ)れえ、人(ちゅ)ぬ名(なあ)ぬ太郎や=たとえば、人名の太郎は、
「たるう」んでぃん言い、「たらあ」んでぃん言ゃびいん=「たるう」とも言うし、「たらあ」とも言います。非丁寧文「~言ん」。「おもろさうし」には「たら」とあります。
いいくる言葉ぬ尻ぬ「あ」なとおしえ=およそ、語尾が「あ」であるものは、
卑な語(又、愛さ語んいびいしが…)やる風儀やいびいしが=卑語(又は愛称)になるようであるが、
今あ、「たらあ」んでぃ言ちん=今は、「たらあ」と言っても、
誰ん卑な語(又愛さ語)やんでえ、思いんさびらん=誰も、卑語(または愛称)とは思いもしません。非丁寧文「~思いんさん」。
あんしいねえ、次郎、三郎ぬまっとうばぬ名や=では、次郎、三郎のちゃんとした名は、
「じるう」、「さんるう、さんどぅう」どぅやるいんでぃぬ=「じるう」、「さんるう、さんどぅう」なのかという
話んかいんなてぃ来ゃあびいしが=疑問が湧いてきますが、 非丁寧文「~来ぅうしが」。
うん如おる名や、なあ聞ちん、んだんあい=そういう名は、もはや、聞いた事もないし、
又、うん如うし、考えゆる事お、さんなとおいびいん=また、そのように(卑語とか愛称とか)考える事もなくなっています。非丁寧文「~さんなとおん」。
我が童ぬばすお、喧嘩虫ぬ喰ういねえ=喧嘩腰になれば、
いいくる、相手ぬ名や、例れえ=だいたい、(喧嘩)相手の名は、例えば、
「ひろし」やれえ、「ひろさあ」、「まさお」やれえ、「まさ あ」んでぃち、なやびたん=「ひろし」なら「ひろさあ」、「まさお」なら「まさあ」となりました。非丁寧文「~なたん」。
大概や、人ぬ名ぬ尻、「~あ」さあに、叫びゆんねえ、ないねえ=大概、人名語尾を「~あ」で呼ぶようになれば、
なあ、悪くい物言いびけんかいけえなてぃ=もう、けなし言葉だけになってしまい
何ん愛さな言葉んかいやないびらん=もはや、愛称などではないのです。非丁寧文「~んかいやならん」。
やいびいしが、今あ、うんな話さんてえまん=しかながら、今は、そういう話をしても、
厳重さんでぃ、思ゆる人お、居いびらん=確かにそうであると思う人はいません。非丁寧文「~居らん」。
やせえやいびいしが、分かてぃん、使らんせえ=そうではあっても、分かっていても、使いない方が、
ましやびいる事お、当たい前ぬ事やいびいん=良い事は、当然です。非丁寧文「~事やん」。
  

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