うちなあぐち日記

うちなあぐちえ 聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ

2013年07月

イメージ 1

 くぬ前(めえ)、六月(るくぐぁち)うまちいんかい、行ちゃびたん。
 かあまかあま昔(んかし)に、祖先(うやふじ)んちゃあぬ集落(シマ)んかいあぬ樋川(かあ)拝(うが)みいが、行じゃるばす、樋川ぬ側(すば)まんぐらんじ、ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声(ぐぃい)ぬすたくとぅ、見(ん)ちゃれえ、蜘蛛(くうばあ)ぬ巣(しい)んかいひっ掛かやあに、ぱったらげえやあそおいびいたん。
 やいびいしが、直(し)ぐに、巣ぬ主(ぬうし)ぬ来(ち)ゃあに、うぬぎじぎじい、糸(いいちゅう)さあに巻ちゃびたん。胴体(どぅうてえ)や、蝉ぬるまぎさるむんぬ、如何(ちゃあ)がないらあんでぃ思(うむ)てぃ、ちゃあ見(ん)じいそおびたしが、んちゃ、蜘蛛や、脚足(ふぃさ)ぬ長さるうっぺえ、強(ちゅう)ばあやいぎさいびいん。ようい一時小(いっとぅちゃぐぁあ)ぬ時間どぅやたるむぬ、うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら、声ん出(ん)じゃさんなとおいびいたん。糸、巻かったるうっぴせえ、けえ死なん筈(はじ)やいびいくとぅ、いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針(どぅくばあい)どぅ打ったりいがさらん分かやびらん。

 うぬ後(あと)お、「くぁっちいさびら」んでぃち、うちゅ喰(くぁ)いがさびいら。うぬ前(めえ)に、ぎじぎじいなかい、壊(くう)さったる巣(写真からあ巣ぬ左(ふぃざい))くうすんでぃち、忙(いちゅ)なさる筈(はじ)やいびいん。
 
 やいびいしが、考(かんげ)えてぃ、見(に)いねえ、いっそうまぬ夏(なち)やれえ、耳ぬ崩(くじ)りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ、今度(くんどぅ)ぬ夏(なち)え、なんぞお鳴ちゃびらんしが、如何がなとおいびいら。

【語句】
くぬ前、六月うまちいんかい、行ちゃびたん=この間、六月ウマチーに行きました。非丁寧文は「~行(ん)じゃん」。
かあまかあま昔に=ずっと昔に、
祖先んちゃあぬ集落んかいあぬ樋川拝みいが=祖先達の集落にあった井戸(樋側)を拝みにと、
行じゃるばす=行った時、
樋川ぬ側まんぐらんじ=樋側の近くで、
ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声ぬすたくとぅ=蝉の鳴き声がしたので、 「ぎじぎじい」(アブラゼミ、首里などでは鍋カチカチイ)。
見ちゃれえ、蜘蛛ぬ巣んかいひっ掛かやあに=見ると、蜘蛛の巣に引っかかり、  「蜘蛛(くうばあ)」は古語では「くぶ」。
ぱったらげえやあそおいびいたん=ぱたぱたしていました。非丁寧文は「~そおたん」。
やいびいしが、直ぐに=しかしながら、直ぐに、 非丁寧文は「やしが、~」。
巣ぬ主ぬ来ゃあに、うぬぎじぎじい=巣の主がやってきて、その蝉(アブラゼミ)を
糸さあに巻ちゃびたん=糸でまきつけました。非丁寧文は「~巻ちゃん」。
胴体や、蝉ぬるまぎさるむんぬ=胴体は蝉の方が大きいのに、
如何がないらあんでぃ思てぃ=どうなることやらと思い、
ちゃあ見じいそおびたしが=ずっと、見ていましたが、  非丁寧文は「~見じいそおたしが」。
んちゃ、蜘蛛や、脚足ぬ長さるうっぺえ=なるほど、蜘蛛は脚が長い分、
強ばあやいぎさいびいん=強いようでした。非丁寧文は「~やいぎさん」。
ようい一時小ぬ時間どぅやたるむぬ=ほんの少しのだ時間だったのに、
うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら=その蝉(アブラゼミ)は死んでしまったのか、
声ん出じゃさんなとおいびいたん=声も出さなくなっていました。非丁寧文は「~出かさんなとおたん」。註:厳密に言えば、「声」ではなく「お腹の振動?」。
糸、巻かったるうっぴせえ=糸を巻かれたぐらいでは、
けえ死なん筈やいびいくとぅ=死なないはずですので(意訳)、 非丁寧文は「~筈やくとぅ」。
いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針どぅ=きっと、蜘蛛に毒針でも、
打ったりいがさらん分かやびらん=刺されたれたのかもしれません。非丁寧文は「~分からん」。
うぬ後お、「くぁっちいさびら」んでぃち=その後は、「ごちそうになります」と、 非丁寧文は「くぁっちいさ」ですが、非丁寧文は実際はあまり使わないのか耳にした事があちません。
うちゅ喰いがさびいら=食べてしまうのでしょうか。非丁寧文は「~がすら」。「うちゅ喰ゆん」の「うちゅ」は「喰ゆん」「飲むん(飲ぬん)」などの動詞の前に付いて「~してしまう」の意味の副詞です。
うぬ前に、ぎじぎじいなかい=その前に、アブラゼミに
壊さったる巣くうすんでぃち=壊された巣を修繕すると、  「壊(くう)すん」と「くうすん(修繕する)」はひらがな表記では同じですが、「すん」の部分の抑揚が異なります。
忙なさる筈やいびいん=忙しいことでしょう(意訳)。非丁寧文は「~筈やん」。
やいびいしが、考えてぃ、見いねえ=ですが、考え見れば、
いっそうまぬ夏やれえ=いつもの夏なら、  「いっそうま」は「普段」。『沖縄語辞典』にはない。
耳ぬ崩りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ=耳が潰れるほど、蝉が鳴くのに、 「さいさい」(首里などでは「さんさなあ」)。ところで、「さいさい、さんさなあ」の和名は?
今度ぬ夏え、なんぞお鳴ちゃびらんしが=今年の夏は、殆ど鳴きませんが、 非丁寧文は「鳴かんしが」。
如何がなとおいびいら=どうなってるのでしょうか。非丁寧文は「如何がなとおら」。

イメージ 1

イメージ 2

写真ぬ上:我ったあゴーヤー
写真ぬ下:摘(む)らんまあどぅ熟(ん)どおるゴーヤー

 今度(くんど)お、ゴーヤー年(どぅし)がやいびいら。まあんくぃんじん、ゆかとおいぎさいびいん。
 我(わ)ったあゴーヤーん、何年越(なんにんぐ)しいなかいがやら、台風(ううかじ)ぬ来(く)うんまあく、ちゃんとぅ実(な)とおいびいん。んちゅなてぃからあ、台風ぬ来(ち)いまんでぃ、摘(む)ゆる前(めえ)に、さってぃ、何(ぬう)んならんなやびたん。
 やいびいしが、ふぃるましむんやいびいん。まあぬ家庭(ちねえ)ん、ゴーヤーぬ実(な)い強(じゅう)さがあら、いいくる、友(どぅし)ん達(ちゃあ)ん、「自ぬ家ぬむんやんどお」んでぃち、何本(なんぶん)ぬん、持っちめんせえびいん。
 あんさびいくとぅ、食(か)みゆさんあたいぬゴーヤーぬ台所(しむ)ぬ側(すば)ぬ台小(でえぐぁあ)んかい、並(な)どおいびいん。うぬうちぬ、四本(ゆんぶん)びけえや、食まりいん迄(までぃ)、にじららんがあいびいたらあ、けえ熟(ん)でぃ、黄色(ちいるう)なたい、赤(あかあ)なたいさびやあに、なあ、食まらんなとおいびいん。
 やいびいしが、使(ちけ)え道えあいびいん。黄赤ぬゴーヤーから種(さに)取(とぅ)やあに、来年(やあん)んじ、植(ゐい)ゆる積(ち)む合(ええ)やいびいん。
んちゃ、黄色赤ゴーヤーん、種取てぃとぅらしんでぃちょおる積む合がやいびいら、なんくる皮(かあ)ぬ幾(いく)ちんかいん、割りてぃ、種見(さにみ)しやびいん。

【語句】
今度お、ゴーヤー年がやいびいら=今年はゴーヤー年なのでしょうか。非丁寧文は「~がやら」。「今度」は口語では殆どは「今年」の意味。
まあんじん、ゆかとおいぎさいびいん=どこもかしこも、豊作のようです。「ゆかとおん」は「豊作である」「良く実っている」等の意味。非丁寧文は「~ゆかとおいぎさん」。
我ったあゴーヤーん、何年越しいなかいがやら=我が家のゴーヤーも何年ぶりだろうか、
台風ぬ来うんまあく、ちゃんとぅ実とおいびいん=台風が来ないうちに、ちゃんと実をつけました。「来うんまあく」の「まあく」は「まどぅ」の田舎語。普段は「まどぅ」を使うが意図的にこれらの言葉も遣わしてもらっています。非丁寧文は「~実とおん」。
んちゅなてぃからあ、台風ぬ来いまんでぃ=一昨年から台風が多く来て。「来いまんでぃ」は「沢山来る様子」です。慣用句として覚えた方が良いでしょう。
摘ゆる前に、さってぃ、何んならんなやびたん=収穫する前に、やられて、ダメになりました。非丁寧文は「~ならんなたん」。「なやびたん」は「ないびたん」でも良いです。都市部では後者が地方では前者が優勢か。「さってぃ」は「さりゆん」(やられる)の接続態(補助連用形)。直訳は「される」。
やいびいしが、ふぃるましむんやいびいん=ですけど、珍しいしい事にです。非丁寧文は「やしが、ふぃるましむん」。
まあぬ家庭ん、ゴーヤーぬ実い強さがあら=どの家庭でも、ゴーヤーがよくできているのか
いいくる、友ん達ん=たいがい、友だちも、
「自ぬ家ぬむんやんどお」んでぃち=「自家製です」と、
何本ぬん持っちめんせえびいん=何本も持ってきます。非丁寧文は「持っち来(ち)ゅうん」。
あんさびいくとぅ=ですから、  非丁寧文は「あんやくとぅ」「やくとぅ」。
食みゆさんあたいぬゴーヤーぬ=食べきれないほどのゴーヤーが
台所ぬ側ぬ台小んかい、並どおいびいん=台所にあるワゴンの上に並んでいます。非丁寧文は「並どおん」。
うぬうちぬ、四本びけえや=そのうちの四本ぐらいは、
食まりいる迄=食べられるまで、「食まりゆる」「食まりいん」とも言います。
にじららんがあいびいたら、、けえ熟でぃ=我慢ができなかったのか、熟れてしまって、
黄色なたい、赤なたいさびやあに=黄色くなったり、赤くなったりして、 非丁寧文は「~なたいし」。
なあ、食まらんなとおいびいん=もう、食べられなくなっています。非丁寧文は「食まらんなとおん」。
やいびいしが、使え道えあいびいん=ですけど、使い道はあります。非丁寧文は「~使い道えあん」。
黄赤ぬゴーヤーから種取やあに=黄色や赤のゴーヤーから種を取り、
来年んじ、植ゆる積む合やいびいん=来年に植えるつもりです。「積む合」の「合」は筆者の当て字なので要注意。
んちゃ、黄色赤ゴーヤーくるん=たしかに、ゴーヤー自身も、「くる」は「自身」。「汝くる」は「君自身」。ちなみに「なんくる」は「自ら」「自然に」。
種取てぃとぅらしんでぃちょおる積む合がやびいら=種を取って(ちょうだい)という積もりなのでしょうか。非丁寧文は「~積む合がやら」。「~とぅらんしんでぃちょおる」は「取らんしでぃ言ちょおる」の「言」が脱落しています。動詞本体が脱落しているのに、その意味を残す事のできるのは沖縄語だけなのでしょうか。
なんくる皮ぬ幾ちんかいん=自然に皮が幾つにも、「なんくる」は既述。
割りてぃ、種見しやびいん=割れて種を見せます。非丁寧文は「~種見しゆん」。


 

↑このページのトップヘ