くぬ前(めえ)、六月(るくぐぁち)うまちいんかい、行ちゃびたん。
かあまかあま昔(んかし)に、祖先(うやふじ)んちゃあぬ集落(シマ)んかいあぬ樋川(かあ)拝(うが)みいが、行じゃるばす、樋川ぬ側(すば)まんぐらんじ、ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声(ぐぃい)ぬすたくとぅ、見(ん)ちゃれえ、蜘蛛(くうばあ)ぬ巣(しい)んかいひっ掛かやあに、ぱったらげえやあそおいびいたん。
やいびいしが、直(し)ぐに、巣ぬ主(ぬうし)ぬ来(ち)ゃあに、うぬぎじぎじい、糸(いいちゅう)さあに巻ちゃびたん。胴体(どぅうてえ)や、蝉ぬるまぎさるむんぬ、如何(ちゃあ)がないらあんでぃ思(うむ)てぃ、ちゃあ見(ん)じいそおびたしが、んちゃ、蜘蛛や、脚足(ふぃさ)ぬ長さるうっぺえ、強(ちゅう)ばあやいぎさいびいん。ようい一時小(いっとぅちゃぐぁあ)ぬ時間どぅやたるむぬ、うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら、声ん出(ん)じゃさんなとおいびいたん。糸、巻かったるうっぴせえ、けえ死なん筈(はじ)やいびいくとぅ、いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針(どぅくばあい)どぅ打ったりいがさらん分かやびらん。
かあまかあま昔(んかし)に、祖先(うやふじ)んちゃあぬ集落(シマ)んかいあぬ樋川(かあ)拝(うが)みいが、行じゃるばす、樋川ぬ側(すば)まんぐらんじ、ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声(ぐぃい)ぬすたくとぅ、見(ん)ちゃれえ、蜘蛛(くうばあ)ぬ巣(しい)んかいひっ掛かやあに、ぱったらげえやあそおいびいたん。
やいびいしが、直(し)ぐに、巣ぬ主(ぬうし)ぬ来(ち)ゃあに、うぬぎじぎじい、糸(いいちゅう)さあに巻ちゃびたん。胴体(どぅうてえ)や、蝉ぬるまぎさるむんぬ、如何(ちゃあ)がないらあんでぃ思(うむ)てぃ、ちゃあ見(ん)じいそおびたしが、んちゃ、蜘蛛や、脚足(ふぃさ)ぬ長さるうっぺえ、強(ちゅう)ばあやいぎさいびいん。ようい一時小(いっとぅちゃぐぁあ)ぬ時間どぅやたるむぬ、うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら、声ん出(ん)じゃさんなとおいびいたん。糸、巻かったるうっぴせえ、けえ死なん筈(はじ)やいびいくとぅ、いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針(どぅくばあい)どぅ打ったりいがさらん分かやびらん。
うぬ後(あと)お、「くぁっちいさびら」んでぃち、うちゅ喰(くぁ)いがさびいら。うぬ前(めえ)に、ぎじぎじいなかい、壊(くう)さったる巣(写真からあ巣ぬ左(ふぃざい))くうすんでぃち、忙(いちゅ)なさる筈(はじ)やいびいん。
やいびいしが、考(かんげ)えてぃ、見(に)いねえ、いっそうまぬ夏(なち)やれえ、耳ぬ崩(くじ)りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ、今度(くんどぅ)ぬ夏(なち)え、なんぞお鳴ちゃびらんしが、如何がなとおいびいら。
やいびいしが、考(かんげ)えてぃ、見(に)いねえ、いっそうまぬ夏(なち)やれえ、耳ぬ崩(くじ)りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ、今度(くんどぅ)ぬ夏(なち)え、なんぞお鳴ちゃびらんしが、如何がなとおいびいら。
【語句】
くぬ前、六月うまちいんかい、行ちゃびたん=この間、六月ウマチーに行きました。非丁寧文は「~行(ん)じゃん」。
かあまかあま昔に=ずっと昔に、
祖先んちゃあぬ集落んかいあぬ樋川拝みいが=祖先達の集落にあった井戸(樋側)を拝みにと、
行じゃるばす=行った時、
樋川ぬ側まんぐらんじ=樋側の近くで、
ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声ぬすたくとぅ=蝉の鳴き声がしたので、 「ぎじぎじい」(アブラゼミ、首里などでは鍋カチカチイ)。
見ちゃれえ、蜘蛛ぬ巣んかいひっ掛かやあに=見ると、蜘蛛の巣に引っかかり、 「蜘蛛(くうばあ)」は古語では「くぶ」。
ぱったらげえやあそおいびいたん=ぱたぱたしていました。非丁寧文は「~そおたん」。
やいびいしが、直ぐに=しかしながら、直ぐに、 非丁寧文は「やしが、~」。
巣ぬ主ぬ来ゃあに、うぬぎじぎじい=巣の主がやってきて、その蝉(アブラゼミ)を
糸さあに巻ちゃびたん=糸でまきつけました。非丁寧文は「~巻ちゃん」。
胴体や、蝉ぬるまぎさるむんぬ=胴体は蝉の方が大きいのに、
如何がないらあんでぃ思てぃ=どうなることやらと思い、
ちゃあ見じいそおびたしが=ずっと、見ていましたが、 非丁寧文は「~見じいそおたしが」。
んちゃ、蜘蛛や、脚足ぬ長さるうっぺえ=なるほど、蜘蛛は脚が長い分、
強ばあやいぎさいびいん=強いようでした。非丁寧文は「~やいぎさん」。
ようい一時小ぬ時間どぅやたるむぬ=ほんの少しのだ時間だったのに、
うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら=その蝉(アブラゼミ)は死んでしまったのか、
声ん出じゃさんなとおいびいたん=声も出さなくなっていました。非丁寧文は「~出かさんなとおたん」。註:厳密に言えば、「声」ではなく「お腹の振動?」。
糸、巻かったるうっぴせえ=糸を巻かれたぐらいでは、
けえ死なん筈やいびいくとぅ=死なないはずですので(意訳)、 非丁寧文は「~筈やくとぅ」。
いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針どぅ=きっと、蜘蛛に毒針でも、
打ったりいがさらん分かやびらん=刺されたれたのかもしれません。非丁寧文は「~分からん」。
うぬ後お、「くぁっちいさびら」んでぃち=その後は、「ごちそうになります」と、 非丁寧文は「くぁっちいさ」ですが、非丁寧文は実際はあまり使わないのか耳にした事があちません。
うちゅ喰いがさびいら=食べてしまうのでしょうか。非丁寧文は「~がすら」。「うちゅ喰ゆん」の「うちゅ」は「喰ゆん」「飲むん(飲ぬん)」などの動詞の前に付いて「~してしまう」の意味の副詞です。
うぬ前に、ぎじぎじいなかい=その前に、アブラゼミに
壊さったる巣くうすんでぃち=壊された巣を修繕すると、 「壊(くう)すん」と「くうすん(修繕する)」はひらがな表記では同じですが、「すん」の部分の抑揚が異なります。
忙なさる筈やいびいん=忙しいことでしょう(意訳)。非丁寧文は「~筈やん」。
やいびいしが、考えてぃ、見いねえ=ですが、考え見れば、
いっそうまぬ夏やれえ=いつもの夏なら、 「いっそうま」は「普段」。『沖縄語辞典』にはない。
耳ぬ崩りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ=耳が潰れるほど、蝉が鳴くのに、 「さいさい」(首里などでは「さんさなあ」)。ところで、「さいさい、さんさなあ」の和名は?
今度ぬ夏え、なんぞお鳴ちゃびらんしが=今年の夏は、殆ど鳴きませんが、 非丁寧文は「鳴かんしが」。
如何がなとおいびいら=どうなってるのでしょうか。非丁寧文は「如何がなとおら」。
くぬ前、六月うまちいんかい、行ちゃびたん=この間、六月ウマチーに行きました。非丁寧文は「~行(ん)じゃん」。
かあまかあま昔に=ずっと昔に、
祖先んちゃあぬ集落んかいあぬ樋川拝みいが=祖先達の集落にあった井戸(樋側)を拝みにと、
行じゃるばす=行った時、
樋川ぬ側まんぐらんじ=樋側の近くで、
ぎじぎじい(なあびかちかちい)ぬ鳴ち声ぬすたくとぅ=蝉の鳴き声がしたので、 「ぎじぎじい」(アブラゼミ、首里などでは鍋カチカチイ)。
見ちゃれえ、蜘蛛ぬ巣んかいひっ掛かやあに=見ると、蜘蛛の巣に引っかかり、 「蜘蛛(くうばあ)」は古語では「くぶ」。
ぱったらげえやあそおいびいたん=ぱたぱたしていました。非丁寧文は「~そおたん」。
やいびいしが、直ぐに=しかしながら、直ぐに、 非丁寧文は「やしが、~」。
巣ぬ主ぬ来ゃあに、うぬぎじぎじい=巣の主がやってきて、その蝉(アブラゼミ)を
糸さあに巻ちゃびたん=糸でまきつけました。非丁寧文は「~巻ちゃん」。
胴体や、蝉ぬるまぎさるむんぬ=胴体は蝉の方が大きいのに、
如何がないらあんでぃ思てぃ=どうなることやらと思い、
ちゃあ見じいそおびたしが=ずっと、見ていましたが、 非丁寧文は「~見じいそおたしが」。
んちゃ、蜘蛛や、脚足ぬ長さるうっぺえ=なるほど、蜘蛛は脚が長い分、
強ばあやいぎさいびいん=強いようでした。非丁寧文は「~やいぎさん」。
ようい一時小ぬ時間どぅやたるむぬ=ほんの少しのだ時間だったのに、
うぬぎじぎじいや、けえ死にいがさら=その蝉(アブラゼミ)は死んでしまったのか、
声ん出じゃさんなとおいびいたん=声も出さなくなっていました。非丁寧文は「~出かさんなとおたん」。註:厳密に言えば、「声」ではなく「お腹の振動?」。
糸、巻かったるうっぴせえ=糸を巻かれたぐらいでは、
けえ死なん筈やいびいくとぅ=死なないはずですので(意訳)、 非丁寧文は「~筈やくとぅ」。
いやでぃん、蜘蛛なかい、毒針どぅ=きっと、蜘蛛に毒針でも、
打ったりいがさらん分かやびらん=刺されたれたのかもしれません。非丁寧文は「~分からん」。
うぬ後お、「くぁっちいさびら」んでぃち=その後は、「ごちそうになります」と、 非丁寧文は「くぁっちいさ」ですが、非丁寧文は実際はあまり使わないのか耳にした事があちません。
うちゅ喰いがさびいら=食べてしまうのでしょうか。非丁寧文は「~がすら」。「うちゅ喰ゆん」の「うちゅ」は「喰ゆん」「飲むん(飲ぬん)」などの動詞の前に付いて「~してしまう」の意味の副詞です。
うぬ前に、ぎじぎじいなかい=その前に、アブラゼミに
壊さったる巣くうすんでぃち=壊された巣を修繕すると、 「壊(くう)すん」と「くうすん(修繕する)」はひらがな表記では同じですが、「すん」の部分の抑揚が異なります。
忙なさる筈やいびいん=忙しいことでしょう(意訳)。非丁寧文は「~筈やん」。
やいびいしが、考えてぃ、見いねえ=ですが、考え見れば、
いっそうまぬ夏やれえ=いつもの夏なら、 「いっそうま」は「普段」。『沖縄語辞典』にはない。
耳ぬ崩りるか、さいさい(さんさなあ)ぬ鳴ちゅるむぬ=耳が潰れるほど、蝉が鳴くのに、 「さいさい」(首里などでは「さんさなあ」)。ところで、「さいさい、さんさなあ」の和名は?
今度ぬ夏え、なんぞお鳴ちゃびらんしが=今年の夏は、殆ど鳴きませんが、 非丁寧文は「鳴かんしが」。
如何がなとおいびいら=どうなってるのでしょうか。非丁寧文は「如何がなとおら」。