うちなあぐち日記

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2012年09月

 台風17号や、でえじな強当(ちゅうあ)たいそおいびいたっさあ。
 今度(くんどお)お、夏(なち)なてぃからぬ土日え、いいくる台風(ううかじ)ぬ来(ち)ゃあびいん。
 台風15号ん16号ん、気象台(ちしょうでえ)ぬ「良(ゆ)うさんでえなんどお」んでぃちゃあに、記者会見(ちしゃくぁいちん)そおたるむぬやいびいしが、実(じゅん)ねえ、風(かじ)え、あんすか迄え、強(ちゅう)さあ無(ね)えやびらんたくとぅ、此ぬまあどぅん、「狼少年」がやらんでぃ思とおたるむぬ、「三度目ぬ正直」んかい、けえなやびたん。
 気圧(ちあち)え15号16号やか10~20ヘクトパスカルびけんや、低さたるむぬ、那覇(なあふぁ)んじえ、観測史上3番目(ばんみい)ぬ61.2メートル吹ちゃんでぃぬ事やいびいん。
 
 風ぬ音(うとぅ)ん、恐(うとぅる)しむぬんやい、ふぃるましむぬんやいびいたん。電線が撫でぃらりいる交響曲ねえそおる音からライオンぬ叫び声、口笛、指笛んでえや、いっそうまぬ通(とぅう)いやいびいたいしが、くぬまあどお、あるっさぬ車が、急ブレーキすぬ如おる音ん混んち、いっぺえ、変わとおびいたっさあ。
 やいしいが、くぬあらちな台風ん、てえふぁやいびいたっさあ。バイクお倒(とお)さりやびらんたしが、シートびけんや、うっ飛(とぅ)ばさってぃ、クーラーぬ室外機ぬ後んかい隠(くぁっくぁ)ちぇいびいたん。うりから、窓ぬ網戸ん、右(にじり)んかい寄(ゆ)したい、左(ふぃざい)んかい寄したいし、遊(あし)でぃが居(をぅ)らんでぃ思(うむ)やびたん。

 15、6号ぬばあや、停電(てぃいでぃ)ぬんさんたるむぬ、昨日(ちぬう)ぬ明方(あきがた)から、今日(ちゅう)ぬ明時(あかとぅんち)迄(までぃ)、停電けえそおびいたん。テレビぬ見(ん)だらん、蝋燭し暮らさんでえならん、冷水(ふぉずるみじ)し、浴みらんでえならんとぅか迄(まで)え、面白(うむしる)むんやいびいしが、浄水ぬ飲(ぬ)まらん、パソコンぬ使(ちか)あらんとぅかないねえ、にりくさりむんやいびいさ。

【語句】
台風17号や=台風17号は、
でえじな強当たいそおいびいたっさあ=ずいぶん、強烈でしたな。「強当たい」の適切な日本語訳は見当たらないので、ここでは意訳。非丁寧文は「~そおたっさあ」。文末の「さあ」は感嘆詞。
今度お=今年は。元々は日本語の「今度」ですが、最近は、元の意味でも使用される頻度が多くなったように思います。では、「今度」というは「くぬまあどぅ」です。
夏なてぃからぬ土日え=夏になってからの土日は、
いいくる台風ぬ来ゃあびいん=よく台風がきます。「いいくる」は概ね頻度が多いことを表わす副詞で、「よく」、「だいたい」などと訳します。
台風15号ん16号ん=台風15号も16号も
気象台ぬ「良うさんでえなんどお」んでぃちゃあに=気象台が「気をないといかんよ」と。「でぃちゃあに」は「んでぃち」、「んでぃ」でもよいです。「んでぃ言ちゃあに」が慣用的に「言」が略されたり、約まったりしています。
記者会見そおたるむぬやいびいしが=記者会見をしていたものですが。非丁寧文は「~そおたるむぬやしが」。
実ねえ、風え=本当は風は
あんすか迄え、強さあ無えやびらんたくとぅ=強くはなかったので、
此ぬまあどぅん=今度も、
「狼少年」がやらんでぃ思とおたるむぬ=「狼少年」なのかと思っていたら、
「三度目ぬ正直」んかい、けえなやびたん=「三度目の正直」になってしまいました。「けえ」は「~してしまう」の意味での副詞で、動詞などの前につきます。非丁寧文は「~なたん」。「なやびたん」は勿論、「ないびたん」で良いです。前者はやや古風。
気圧え15号16号やか10~20ヘクトパスカルびけんや=気圧は15号16号より10~20ほどは、
低さたるむぬ=低かったのに、
那覇んじえ、観測史上3番目ぬ61.2メートル=那覇では、観測史上3番目の61.2メートル
吹ちゃんでぃぬ事やいびいん=吹いたとのことです。非丁寧文は「~事やん」。
風ぬ音ん、恐しむぬんやい=風の音も、恐ろしいものでもあり、
ふぃるましむぬんやいびいたん=珍しいものでもありました。非丁寧文は「~むぬんやたん」。
電線が撫でぃらりいる交響曲ねえそおる音から=電線が撫でられる交響曲のような音から
ライオンぬ叫び声、口笛、指笛んでえや=ライオンが吠える音、口笛、指笛などは
いっそうまぬ通いやいびいたいしが=いつもの通りでしたが。非丁寧文は「~通いやたしが」。
くぬまあどお、あるっさぬ車が=今回は、車と言う車が
急ブレーキすぬ如おる音ん混んち=急ブレーキするような音も混じり
いっぺえ、変わとおびいたっさあ=とても特殊でした。
やいしいが、くぬあらちな台風ん=ですがこの乱暴な台風も
てえふぁやいびいたっさあ=こっけいでしたな。非丁寧文は「でえふぁあやたっさあ」。「さあ」は感嘆詞。
バイクお倒さりやびらんたしが=バイクは倒されませんでしたが。非丁寧文は「倒さらんたしが」。
シートびけんや、うっ飛ばさってぃ=シートだけは飛ばされて。「と飛ばさって」の「うっ」は強調などを表わす接頭語。
クーラーぬ室外機ぬ後んかい隠ちぇいびいたん=クーラー室外機の後に隠してありました。非丁寧文は「~隠ちぇえたん」。
うりから、窓ぬ網戸ん=そして、窓の網戸も
右んかい寄したい、左んかい寄したいし=右に寄せたり、左に寄せたりして、
遊でぃが居らんでぃ思やびたん=遊んでいるのかと思いました。非丁寧文は「~思たん」。
15、6号ぬばあや=15,16封のばあいは、
停電ぬんさんたるむぬ=停電もしなかったのに、
昨日ぬ明方から、今日ぬ明時迄=昨日の朝から今日の未明まで
停電けえそおびいたん=停電してしまっていました。非丁寧文は「~けえそおたん」。
テレビぬ見らん、蝋燭し暮らさんでえならん=テレビも見られない、蝋燭暮らしをしなければなない、
冷水し、浴みらんでえならんとぅか迄え=冷水でシャワーを浴びるなどまでは、
面白むんやいびいしが=面白いものですが、
浄水ぬ飲まらん、パソコンぬ使あらんとぅかないねえ=浄水が飲めない、パソコンが使えないとかになると、
にりくさりむんやいびいさ=飽きれて厭になるものですよ。非丁寧文は「~むんやさ」。「さ」は感嘆詞。 

◆おもる風儀ぬ表記            ◆『八重山古典民謡工工四上巻』(大浜安判著)表記
一、あやはねは まらしよわれ       綾羽ば 生らしょうり
  びるはねは すだしよわれ       ぶぃる羽ば 産だしょうり
  わしのとりやに がよな わし      バスィヌトゥルヤウニガユナバスィ

又、しょうがつのすとめて          正月ぬすぃとぅむでぃ
  がんにちのあさはな           元旦ぬ朝ぱな

又、あかるいかへとびちへけ        東かい飛びつぃけ
  てたはかみまゐちへけ          太陽ばかめ舞いつぃけ

 2007年(にん)んじ、沖縄タイムスぬ「唐獅子」んかい「八重山古謡にみるオモロの面影」んでぃゆる題(でえ)さあに、寄稿(ちこう)さる事(くとぅ)ぬあいびいん。
 今(く)ぬまあどお、うぬ記事(ちじ)ぬ温(あち)らし返(けえ)さあやる所(とぅくる)んあいびいしが、書ち足らあん所、補(うじな)なやあに、あんしまた、古謡ぬ一節(ちゅふし)びけんや、私流オモロ風儀し書ちなあびらんでぃ思(うむ)とおいびいん。
 琉球王朝時代ぬ官製古謡集なとおる「おもる御さうし(うむるうすうし)」え、宮古(なあくみゃあく)、八重山(いぇえま、やいま)ぬ古謡までぃん、編纂(ひんさん)する計画(くぬみ)ぬあたんでぃぬ事(くとぅ)やいびいたしが、中断さったんでぃぬ事やいびいん。
 うぬ事んかい、肝(ちむ)ふぃがんたる喜舍場永珣や、自(どぅう)し、八重山ぬなあ島々、村々んかい残(ぬく)さっとたる古謡(ジラバ、ユンタ、アヨウんでえ)ゆ採録さあに、『八重山古謡(上下)』出(ん)じゃちゃんでぃ、言ゃっとおいびいん。
 八重山古謡んかいや、おもろ風儀(ふうじい)ぬ言い様(よう)ぬ残(ぬく)いまんでぃ、「~しようり」、「~ようり」んでえ、うぬまましん、「おもろ風儀」やいびいん。うちなあタレントぬ吉田安盛(故人、糸満出身)が、いいくるすたる「~しょうち」んでぃぬ物言い様ん、おもろ風儀なてぃ、面白(うむさ)いびいたん。
 八重山語ぬ「オーリ トーリ(いらっしゃいませ)」ぬ「オーリ」や琉球古語ぬ「あふれ」とぅ全ち同(い)ぬむんやいびいん。「あふれ」や古語独特ぬ開音式表記なてぃ、くり合音式(口語)表記んかい直しいねえ、「おうり」んでぃちないびいしえ。
 うんなくんな考(かんげ)えいねえ、おもろ世(ゆう)ぬ物言い様や、旧中山国んじえ、廃(した)りてぃ、糸満(旧南山国)、宮古、八重山かいどぅ残とおる筈(はじ)んでぃ思(うま)ありやびいん。
 
あんさあに、先じえんでぃ、思(うみ)いてぃ、いふぃえ、違とおる所(とぅくる)んあら筈えやいびいしが、「鷲ぬ鳥節」ゆおもろ(うむる)風儀し表記しなあびたん。

【語句】
2007年んじ=2007年に、
沖縄タイムスぬ「唐獅子」んかい=沖縄タイムスの「唐獅子」に、
「八重山古謡にみるオモロの面影」んでぃゆる題さあに=「八重山古謡~」という題で、
寄稿さる事ぬあいびいん=寄稿したことがあります。非丁寧文は「~事ぬあん」。
今ぬまあどお=このたびは(今回は)
うぬ記事ぬ温らし返さあやる所んあいびいしが=その記事の重複するところもありますが。非丁寧文は「~所んあしが」。
書ち足らあん所、補やあに=書き足りなかったところを補足し。「補やあに」は「補てぃ」とも。
あんしまた=そしてまた、
古謡ぬ一節びけんや、私流オモロ風儀し=古謡の一節ぐらいは、私流オモロ風で。「私流」というのは。間違いがあるかも知れないという意味が込められています…。
書ちなあびらんでぃ思とおいびいん=書いてみようかと思っています。非丁寧文は「~思とおん」。
琉球王朝時代ぬ官製古謡集なとおる=琉球王朝時代の官製古謡集である
「おもる御さうし」え=「おもろ御さうし」は、
宮古、八重山ぬ古謡までぃん=宮古や八重山の古謡まで、
編纂する計画ぬあたんでぃぬ事やいびいたしが=編纂する計画があったとの事ですが。非丁寧文は「~事やしが」。
中断さったんでぃぬ事やいびいん=中断されたとのことです。非丁寧文は「~事やん」。
うぬ事んかい、肝ふぃがんたる喜舍場永珣や=その事に不満を抱いた喜舍場永珣は、
自し、八重山ぬなあ島々、村々んかい残さっとたる=自ら、八重山の各島々、村々に残されていた
古謡(ジラバ、ユンタ、アヨウんでえ)ゆ=古謡(ジラバ、ユンタ、アヨウ等)を
採録さあに=採録して。「~さあに」は「~し」とも。
『八重山古謡(上下)』出じゃちゃんでぃ=『八重山古謡(上下)』を出したと、
言ゃっとおいびいん=いわれています。
八重山古謡んかいや=八重山古謡には、
おもろ風儀ぬ言い様ぬ残いまんでぃ=おもろ風の言い回しが多く残され。「残いまんでぃ」は「多く残されている様子」のことです。慣用句としておぼえましょう。
「~しようり」、「~ようり」んでえ=「~しょうり」、「~ようり」などは、
うぬまましん=そのままでも、
「おもろ風儀」やいびいん=「おもろ風」です。非丁寧文は「~やん」。
うちなあタレントぬ吉田安盛(故人、糸満出身)が=沖縄のタレント吉田安盛が
いいくるすたる「~しょうち」んでぃぬ物言い様ん=よく使った「~しょうち」という言い回しも
おもろ風儀なてぃ、面白いびいたん=おもろ風で、面白かったです。非丁寧文は「~面白さたん」。
八重山語ぬ「オーリ トーリ」ぬ「オーリ」や=八重山語の「オーリトーリ」の「オーリ」は、
古語ぬ「あふれ」とぅ全ち同ぬむんやいびいん=琉球古語ぬ「あふれ」と全く同じものです。非丁寧文は「~むんやん」。
「あふれ」やオモロ独特ぬ開音式表記なてぃ=「あふれ」はオ古語独特の開音式表記になっていて、
くり合音式(口語)表記んかい直しいねえ=これを合音式表記に変換すれば、
「おうり」んでぃちないびいしえ=「おうり」となるではありませんか。
うんなくんな考えいねえ=そんなこんなを考えれば、
おもろ世ぬ物言い様や=おもろ時代の言い回しは、
旧中山国んじえ、廃りてぃ=旧中山国では廃れて。旧中山地域は、首里、那覇を中心に概ね中頭郡など。
糸満(旧南山国)、宮古、八重山かいどぅ残とおら筈=糸満、宮古、八重山にこそ残っているだろう
んでぃ思ありやびいん=と思われます。非丁寧文は「~思ありいん」。「どぅ」は前語を強調する助詞で、通常は次にくる言い切る用言は通常は連体形で結ぶが、ここでは「残とおる」が「筈」という名詞につき既に連体形になっています。など、「残とおる筈」は、首里、那覇はじめ、一部の地域では、慣用的に「残とおら筈」となります。「ら」は推量を表わす助詞ですが慣用的に「筈」と組み合わせていると考えらえます。
あんさあに=そして、
先じえんでぃ、思いてぃ=先ずはと思い、
いふぃえ、違とおる所(とぅあら筈えやいびいしが=少し間違いがあるかも知れませんが。非丁寧文は「~筈えやしが」。直訳「少し間違いがあるはずではありますが」。
「鷲ぬ鳥節」ゆおもろ風儀し表記しなあびたん=「鷲の鳥節」をおもろ風に表記してみました。非丁寧文は「~表記しんちゃん」。
綾羽ば 生らしょうり=綾羽が生れた。「綾羽」は鷲のこと。
ぶぃる羽ば 産だしょうり=びる羽が孵化た。「びる羽」は「綾羽」の対句で、鷲のこと。
バスィヌトゥルヤウニユナバスィ=鷲の鳥ように、がゆな鷲。「がゆな」は意味不詳?の囃子。『八重山古謡(上)』にも解説はなく、「カヨナー鷲(囃)」とのみあります。
正月ぬすぃとぅむでぃ=正月の朝
元旦ぬ朝ぱな=元旦の朝はじめ。「正月のすぃとぅむでぃ」の対句。「ぱな」は本島語では「はな」。日本語の「出鼻をくじかれる」の「鼻」に通じると思われます。
東かい飛びつぃけ=東に飛び行き
太陽ばかめ舞いつぃけ=太陽に舞い行き

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