うちなあぐち日記

うちなあぐちえ 聴ち美らさ 語い美らさ 書ち美らさ

2010年05月

 くぬ前(めえ)、スーパーんかい「今川焼ち」ぬあたれえ、どぅく、あながちさぬ、買うてぃ食(か)なびたん。
 我(わあ)が、なあだ幼稚園(ゆうちいん)ぬん行(い)かん、でえじな小(くう)さいにい、家(やあ)ぬ後(くし)ぬ盛(む)い上がとおる所(とぅくる)んかい、ぐな家小(ぐぁあ)ぬあやあに、んまんかい、あんまあや一人(ちゅい)住(す)どおみせえたん。
 くぬあんまあや、今川焼(んむがあや)ち、作(ちゅく)やい、売とおみせえたん。くぬ今川焼ちぬ赤豆(あかまあみい)ぬ杏や、でえじな旨(まあ)さぬふしがりやびらんたん。今(なま)あ、スーパーんかい行ちいねえ、くぁちいぬまんでぃ、毎日(めえなち)やてぃん、食(か)まりいるむんやいびいしが、うんにいや、七月(しちぐぁち)、正月(しょうぐぁち)なあどぅ、旨さむんや食まりやびいたる。
 我(わん)ねえ、何(ぬう)んでぃち、今川焼ちや「んむがあやち」んでぃが言らあ、ふぃるまさいびいたん。何(ぬ)がんでえ、「んむがあ」んでぃいねえ、「芋皮(んむがあ)」ぬ事(くとぅ)どぅやるんでぃ思とおたくとぅやいびいん。まあから見(ん)ちん、「芋皮」やあいびらんしえやあ。
 やいびいしが、高校時分なてぃから、本土(ヤマトゥ)んかい、「今川焼き」んでぃ言る御菓子(うくぁあし)ぬ有ぬ事ぬ分かやあに、「あっはあ、くぬ『今川』ぬ事どぅやてえさやあ」んでぃ思たるしいじやいびいん。
 やいびいしが、うぬ今川焼ち売やああんまあや、ようい一時小(いっとぅちゃぐぁあ)どぅ居(をぅ)みせえたる。何時(いち)ぬ間(みい)がやら、家移(やあうち)いしんそおち、居らんなみそおちゃん。
 くぬ「んむがあやち」や『沖縄語辞典』ぬんかいや載てえ居いびらん。
【語句】
くぬ前=この前。
スーパーんかい「今川焼ち」ぬあたれえ=スーパーに「今川焼き」があったので。
どぅく、あながちさぬ、買うてぃ、食なびたん=あまりに懐かしく買って食べました。「どぅく」は「とても」。「あながちさぬ」は「懐かしくて」。非丁寧文は「~食だん」。「食だん」「食なびたん」は時分の体験なので共に直接過去。間接過去(他人などの過去)だと、「食むたん」、「食なびいたん」となる。
我が=私が。
なあだ幼稚園ぬん行かん=まだ幼稚園にも通わない。
でえじな小さいにい=大変幼い頃。「くうさい」は「小さい」。「にい」は「頃、時、時分」等の意味。
家ぬ後ぬ盛い上がとおる所=家の後ろの小高いところに。
ぐな家小ぬあやあに=小さな家があり。「ぐな」は「小さい」。「あやあに」は「あり」。「あやあい、「あやあま」等のバージョンあり。
んまんかい、あんまあや一人住どおみせえたん=そこに、おばさんが一人住んでいらっしゃいました。「あんまあ」は「母」という意味であるが、「おばさん」の意味にも使われる。「んま」は「そこ」。「くま」は「ここ」。「あま」は「あそこ」。「住どおみせえたん」は目上語。非目上語は「~住どおたん」、非目上丁寧文は「住どおいびいたん」。
くぬあんまあや、今川焼ち、作やい=このおばさんは、今川焼きを作って。
売とおみせたん=売っていらっしました。「みせえたん」は目上語。非目上語かつ非丁寧文は「売とおたん」。非目上丁寧文は「売とおいびいたん」。
くぬ今川焼ちぬ赤豆ぬ杏や=この今川焼きのあずきの杏は。
でえじな旨さぬふしがりやびらんたん=大変おいしくて、しょうがないほどです。「ふしがりやびらんたん」は、「どうしようもなかったです」などの意味であるが、ここでは訳に苦労する。非丁寧文は「~ふしがらんたん」。
今あ、スーパーんでえんかい行ちいねえ=今はスーパーなどに行けば。
くぁちいぬまんでぃ=ご馳走が多く。
毎日やてぃん、食まりいるむんやいびいしが=毎日でも、食べられるのですが。非丁寧文は「~食まりいしが」。
うんにいや=その頃は。
七月(しちぐぁち)、正月(しゅおぐぁち)なあどぅ=盆、正月しか。「なあどぅ」の「なあ」は時間や場所を表わす語に付く助詞で「~に」の意味。場所に付く場合は「~なありい」などとも言う。例「浜なありい歩っちゅん(浜辺を歩く)」。「どぅ」は前語を強調する助詞。
旨さむんや食まりやびいたる=おいしいものは食べられたのです。「やいびいん」が連体形「やいびいる」になっているのは前に「どぅ」という強調助詞があるから。非丁寧文は「~食まりやびたん」。
我ねえ、何んでぃち=私はなぜ。
今川焼ちや「んむがあやち」んでぃが言らあ=今川焼きは「んむがあやち」というのか。
ふぃるまさいびいたん=珍しがっていました。非丁寧文は「ひるまさたん」。
何がんでえ=なぜかといえば。
「んむがあ」んでぃいねえ=「んむがあ」というのは。
「芋皮」ぬ事どぅやるんでぃ=「芋皮」の事だとばかり。「どぅ」は前語を強調する助詞で、ここでは「ばかり」と訳した。
思とおたくとぅやいびいん=思っていたからです。非丁寧文は「~やたん」。
まあから見ちん=どこから見ても。
「芋皮」やあいびらんしえやあ=「芋皮」ではないさあねえ。
やいびいしが、高校時分なてぃから=ですが、高校生になってから。
本土んかい、「今川焼き」んでぃ言る御菓子ぬ=本土に「今川焼き」というお菓子が。
有ぬ事ぬ分かやあに=あることが分かり。
あっはあ、くぬ『今川』ぬ事どぅやてえさやあ=ああ、この「今川」の事だったんだなあ。
んでぃ思たるしいじやいびいん=と、思った次第です。非丁寧文は「~しいじやん」。
やいしびいしが、うぬ今川焼ち売やああんまあや=ですけど、その今川焼きのおばさんは。
ようい一時小どぅ居みせえたる=ほんの少ししかいませんでした。「みせえたる」は「みせえん」の連体形で、前の「どぅ」を受けて結ばれている。「みせえたる」は目上語。
何時ぬ間がやら=いつの間にか。
家移いしんそおち、居らんなみそおちゃん=引越しなされ、居なくなりました。「しんそうち」は目上語。非目上語は「~し」「~さあに」など。「なみそおちゃん」も目上語。非丁寧文は「居らんなたん」。
くぬ「んむがあやち」や=この「んむがあやち」は。
『沖縄語辞典』ぬんかいや載てえ居いびらん=『沖縄語辞典』には載っていません。非丁寧文は「~居らん」。

 近頃(ちかぐる)お、姪子(みいっくぁ)、甥子(ゐいっくぁ)ぬ赤子(あかんぐぁ)、見しいが、連(そう)てぃ来(ち)ゃあびいくとぅ、抱ちゃい、賺(し)かちゃいすぬ事(くとぅ)ぬまんどおいびいん。
 我(わあ)が童(わらび)ぬばすお、あんまあたあや、赤子あ、いいくる負(うう)ふぁどぅすたるむんぬ、近頃(ちかぐる)ぬ、若あんまあたあや、負ふぁさんようい、抱ちゃい、乳母車んかい乗(ぬ)したいどぅ、さびいくとぅ、まやあくんじいんでぃゆる言葉(くとぅば)ん知らん風儀(ふうじ)やいびいん。我が、
「まやあくんじいさあに、負ふぁすしえ、ましえ、あらんなあ」
んでぃ言ゃびたくとぅ、
「あい言るまあくんじいんでえ、何(ぬう)やいびいが」
んでぃちる言ゃびいたる。
 やしが、なあふぃん、良(ゆ)う聞(ち)ちいねえ、今(なま)あ、帯(ううび)しえ、負ふぁさな、負ふぁすんねえし、縫(の)うらってぃ作(つく)らっとおる専用(しんゆう)ぬ「帯」ぬあんでぃぬ事やいびいん。
 あんしいねえ、なあ「まやあくんじい」んでぃゆる言葉ん死語(しぐ)んかいどぅ、けえ成とおいびいがやあ。んちゃ、『沖縄語辞典』ぬんかいん載(ぬ)てえ無(ね)えやびらんむん。
 あんし、「まやあ くんじい」んでえ、我考えしえ、「まやあ(猫)、縊(くん)じ」んでぃぬ意味えあらんがやあんでぃち思とおいびいしが、ちゃぬ風儀(ふうじい)がやいびいらあ。
 やいびいしが、また、「守やあくんじい」から発音ぬ違てぃちゃあに、「まやあくんじい」んでぃ言んねえ成とおんでぃちん考えらりいしが、くぬ「むやあくんじい」んでぃ言る言葉ん、同(い)ぬ如(ぐとぅ)、『沖縄語辞典』んかいや載てえ居(をぅ)いびらん。

【語句】
近頃お=近頃は。「此(く)ぬ頃(ぐる)んしい」ともいう。
赤子(あかんぐぁ)=赤子、赤ん坊。
見しいが、連てぃ来ゃあびいくとぅ=見せに連れてきますので。非丁寧文は「~来ゅうくとぅ」。
抱ちゃい、賺かちゃいすぬ=抱いたり、あやしたりする。
事ぬまんどおいびいん=事が多いです。非丁寧文は「~まんどおん」。
我が童ぬばすお=私が子どもの頃は。
あんまあたあや=母親たちは。「あんまあ」は通常は母親。場面によっては「おばさん、奥さん」の意味にもなる。
赤子あ、いいくる負ふぁどぅすたるむんぬ=赤ん坊は、たいていはおんぶをしたのだが。「すたるむんぬ」で「したのだが」の意味。「行ちゅたるむんぬ」だと「行ったものが」などと、「むんぬ」は逆接を表わす。慣用句的に覚えた方がよい。
近頃ぬ、若あんまあたあや=此の頃のお母さんがたは。
負ふぁさんようい=おんぶはせずに。
抱ちゃい、乳母車んかい乗したいどぅ、さびいくとぅ=抱いたり、乳母車に乗せたりしかしませんので。「どぅ」は前語を強調する助詞だが、ここでは、「~しか」と訳した。非丁寧文は「~すくとぅ」。
まやあくんじい=帯を赤ん坊の両脇から通し、その帯をおんぶする人の胸で×印に交差させ、赤ん坊の尻で広げ、再びおんぶする人の前に回し、お腹のあたりで結ぶ。おんぶされた赤子の格好が猫の格好に似ているから「猫(まやあ)縊(くん)じ」というのだろうか。
んでぃゆる言葉ん知らん風儀やいびいん=という言葉も知らない様子。「風儀」は「様子」。非丁寧文は「~やん」。
我が=私が。
まやあくんじいさあに=まやあくんじいして。
負ふぁすしえ、ましえ、あらんなあ=おんぶするのか、良いのではないのか。「まし」は日本語の「まし」に対応する語だが、多くは「良い、比較的好き」という意味で使う。
んでぃ言ゃびたくとぅ=と言いましたので。非丁寧文は「~言ちゃくとぅ」。
あい言る まあくんじいんでえ=言われる(そういう) まやあくんじい とは。「あい言る」は「あんし言る」から変形してきた言葉と思われる。「あん言る」という場合もあるからである。
何やいびいが=何ですか。非丁寧文は「何やが」。
んでぃちる言ゃびいたる=と言うのです。「る」は強調助詞「どぅ」の清音で、次にくる「言ゃびいたん」は連体形「言ゃびいたる」で結ぶ。非丁寧文は「んでぃちる言たる」
やしが、なあふぃん、良う聞ちいねえ=しかし、もっと、良く聞けば。
今あ、帯しえ、負ふぁさな=今は帯でおんぶすることはせず。
負ふぁすんねえし=おんぶできるように。
縫うらってぃ作らっとおる=縫われて作られた。
専用ぬ「帯」ぬあんでぃぬ事やいびいん=専用の「帯」があるとのことです。非丁寧文は「~やん」。
あんしいねえ=だとすれば。そうであるなら。
なあ「まあくんじい」んでぃゆる言葉ん=もう「まやあくんじい」という言葉も。
死語んかいどぅ、けえ成とおいびいがやあ=死語になってしまっているのだろうか。「けえ」は「~しまう」の意味の副詞で、動詞の前につく。非丁寧文は「~成とおがやあ」。
んちゃ=日本語には訳しがたい順接を表わす感嘆詞。「そうだ」?
『沖縄語辞典』ぬんかいん載てえ無えやびらんむん=『沖縄語辞典』にも載ってないですもの。
あんし、「まやあ くんじい」んでえ=で、「まやあくんじい」とは。
我考えしえ=私の考えでは。
「まやあ(猫)、縊じ」んでぃぬ=「猫縊り」という。
意味えあらんがやあんでぃち=意味ではないかと。
思とおいびいしが=思っていますが。非丁寧文は「思とおしが」。
ちゃぬ風儀がやいびいらあ=如何でしょうか。非丁寧文は「~がやらあ」。
やいびいしが、また=ですが、また。非丁寧文は「やしが」。
「守やあくんじい」から=「守やあくんじい」から。
発音ぬ違てぃちゃあに=発音が変化して。
「まやあくんじい」んでぃ言んねえ=「まやあくんじい」と言うように。「ねえ」は「よう」。「ねえし」は「ように」。
成とおんでぃちん考えらりやびいしが=なったとも考えられますが。非丁寧文は「~考えらりいしが」。
くぬ「むやあくんじい」んでぃ言る言葉ん=この「むやあくんじい」という語も。
同ぬ如=同様に。
『沖縄語辞典』んかいや載てえ居いびらん=『沖縄語辞典』には載っていません。非丁寧文は「~居らん」。

 4,5日前(しぐにちめえ)から、さっくぃい小(ぐぁあ)しい始(はじ)またむんやいびいしが、初め(はじ)みえ、空(んな)さっくぃい小どぅやいびいたるむんぬ、次第(しでえ)に、幾けぬん、うふうふすんねえし成てぃちゃあびたしが、空さっくぃいやる事お変わらんたん。やしが、ふぃるましむん、胴(どぅう)ぬまあん、あましくお、無(ね)えやびらたん。
 家組(やあぐな)あ、「ふんでえさっくぃ」どぅやるんでぃち、笑とおいびいたん。
 やいびいしが、3日前(みっかめえ)ぬ夕さんでぃからあ、喉(ぬうでぃい)ぬ、ゐいごおさ成てぃ来(ち)ゃあに、ゆり故に、なんくる、さっくぃいさんでえないびらんたん。
 さくぃい、にじやびいねえ、胸(んに)ぬむずむずうしちゃあま、火山(くぁざん)ぬ噴火(ふんくぁ)すぬ如(ぐとぅ)し、うふさっくぃいさびいたん。なあ、にじららな、うぬまあまあ、さっくぃい、ちゃあしいそおいびいたれえ、今度(くんど)お、声枯(くぃいか)らあ、けえなやい、あんましむんなてぃ来ゃあびたん。うぬばす、初みてぃ、風邪(げえち)どぅやるんでぃ思(うみ)たるばすやいびいん。
 だあなあ、何時(いち)が風邪んかかたらあん分からびらん。風邪ぬ感触(くぁんしゅく)ん諸(むる)けえ忘(わし)りるか、長えさ、風邪んかい、かからんたるばすやいびいん。
 今度ぬ、気温(ちうん)ぬ低さんあぬ悪(や)な梅雨(ちゆ)小ぬ故(ゆい)がやらんでぃ思とおいびいん。
 やいびいしが、今日(ちゅう)からあ、さっくぃいん楽なとおいびいさ。喉からあ、かさぐいぬ塊(むるさあ)ぬ出(ん)じてぃ来ゅうんねえしなやあに、うみなあくそおいびいん。かさぐいぬ塊や、白血球なかい負きたるウィイルスぬ死じょおしどぅやいびいせえ。
【語句】
さくぃい小=咳。「さっくい」ともいう。「小(ぐぁあ)」は「愛しみ」「蔑み」「憎しみ」を込める場合に付けるが、ここでは「憎しみ」が込められている。女性の名前に付けると「~ちゃん」。「猿小(さあるぐぁあ)」は「猿め」など。
しい始またる むん やいびいしが=し始めた もの ですがが。非丁寧文は「~やしが」。
初みえ=初めは。
空さくぃい小どぅ やいびいたるむんぬ=から咳でしたのに。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる存在動詞「やたん」は連体形「やたる」で結ぶ。非丁寧文は「~やたるむんぬ」。
次第に、幾けぬん=次第に幾度と無く。幾度も。
うふうふ すんねえ 成てぃ 来ゃあびたん=おほおほ するように なって きました。非丁寧文は「~来ゃん」。
空さっくぃい やる事お 変わやびらんたん=空咳であるには変わりなかった。非丁寧文は「~変わらんたん」。
やいびいしが、ふぃるましむん=ですが、めずらしい事に。非丁寧文は「やしが、~」。
胴ぬまあん、あましくお 無えやびらんたん=体のどこも、わずらわしくは なかった。「胴(どぅう)」体。「まあん」は「どこも」。「あんまさん」は「病などで痛みがあったりすること」。非丁寧文は「~無えらんたん」。
家組あ=家族は。家族のことは「家人数(やあにんず)」ともいう。
ふんでえさっくぃい=甘え咳。「ふんでえ」は「わがまま」。ここでは「甘えん坊的咳」。
どぅやるんでぃち、笑とおいびいたん=なのだと、笑っていました。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる「やん」は連体形「やる」で結ぶ。非丁寧文は「~笑とおたん」。
夕さんでぃ から あ=夕方 から は。
喉ぬ ゐいごおさ なてぃ 来ちゃあに=喉が 痒く なって 来て。
うり故に=そのために。
なんくる、さくぃい さんでえないびたん=自然に 咳をせざるをえなくなりました。非丁寧文は「~さんでえならんたん」。
さくぃい にじやびいねえ=咳を我慢しますと。非丁寧文は「~にじいねえ」。
胸ぬむずむずうし来ゃあま=胸がむずむずしてきて。「~来ゃあに」でも「来(ち)」のバージョンあり。
火山ぬ噴火すぬ如し=火山が噴火するがごとくに。
うふさっくぃいさびいたん=大きな咳をします。「うふ」は「大きい」。「さびいたん」は間接過去。ここでは過去の自分を客観的に眺めているから。直接過去表現では「さびたん」。非丁寧文は「~すたん」。直接過去の非丁寧文は「~さん」。
なあ、にじららな=もう、我慢できず。
うぬまあまあ=そのまま。
さっくぃい、ちゃあしい、そおいびいたれえ=咳をし続けていましたら。非丁寧文は「~そおたれえ」。
今度お、声枯らあ、けえなやい=今度は、声枯れに なってしまい。「けえ」は「~しまう」の意味の副詞で、動詞の前につく。
あんましむん 成てぃ 来ゃあびたん=わずらわしいものに なって きました。非丁寧文は「~来ゃん」。「あんましむん」は形容詞「あんまさん(煩わしい、痛い)」に「物」が付いた語句。
うぬばす、初みてぃ=その時、初めて。
風邪どぅやるんでぃち、思たるばすやいびいん=風邪なのだと、思った次第です。「どぅ」は前語を強調する助詞で、次にくる「やん」は連体形「やる」で結ぶ。
だあなあ=もう。「だあ」は主には「どれどれ」の「どれ」を表わすと思われるが、いろんな場面で使うので意味の違ってくる。「どれどれ」の他に「ああ残念!」など。沖縄人は頻繁に使うが日本語に直すのは難しい。
何時が風邪んかかたらあん分かやびらん=何時風邪をひいたのかも分かりません。非丁寧文は「~分からん」。
諸、けえ忘りるか=全部、忘れてしまうほど。「けえ」は「~しまう」の意味の副詞で、動詞の前につく。「か」は「~のほど、~する程」などの意味。例「声ぬ枯りるか叫びゆん(声がかれるほど喋る)」。
長えさ、風邪んかい、かからんたるばすやいびいん=長いこと、風邪を引かなかったわけです。非丁寧文は「~ばすやん」。
今度ぬ、気温(ちうん)ぬ低さんあぬ=今度の気温が低くもある。
悪(や)な梅雨(ちゆ)小ぬ故(ゆい)がやら=嫌な梅雨の所為なのか。
んでぃ思とおいびいん=と思っています。非丁寧文は「~思とおん」。
やいびいしが、今日(ちゅう)からあ=ですが、今日からは。非丁寧文は「やしが」。
さっくぃいん楽なとおいびいさ=咳も楽になっていますよ。「さ」は感情を表わす助詞。非丁寧文は「~なとおさ」。
喉からあ、かさぐいぬ塊(むるさあ)ぬ=喉からは痰の塊が。「かさぐい」は「痰」。「むるさあ」は「塊」で、「むるし」とも言う。
出(ん)じてぃ来ゅうんねえしなやあに=出てくるようになり。
うみなあくそおいびいん=ほっとしています。非丁寧文は「~そおん」。
かさぐいぬ塊や=痰の塊は。
白血球なかい負きたるウィイルスぬ=白血球に負けたウィイルスの。
死じょおしどぅやいびいしえ=死骸なのだから。「死じょおし」は「死んでいるもの」で、「死ぬん」から派生した動名詞。「どぅ」は前語を強調する助詞。非丁寧文は「~やしえ」。
 

 我(わあ)が覚(うび)せえ、「梅雨入い」宣言(しんぎん)さる日(ふぃい)や、いいくる、雨(あみ)え降いびらんたん。(近頃(ちかぐる)お、気象庁(ちしゅうちゅう)や「梅雨入い宣言」でえ言ゃびらな、「梅雨んかい入っちょおんでぃち思(うま)ありいん」でぃちどぅ言ちょおいびいしが…)。一昨日(うってぃい)ぬ朝あ降とおいびいたしが…。

 「梅雨(ちゆ)」んでえ、うちなあぐちしえ、「しゅうまんぼうしゅう(地域にゆてえ、『すうまんぼうすう』)」んでぃちる、言ちょおいびいしが、うりえ元(むと)お日本語ぬ「小満芒種」ぬ事(くとぅ)やいびいん。

 あんし今日(ちゅう)や、うぬ「梅雨入いんでぃ思ありいる日」なとおいびいん。
 さてぃ、今日や朝から、曇(くむ)たい、晴りたい、そおいびいしが、雨え、なあだ降てえ居(をぅ)いびらん。くぬ後(あとぅ)、降いがさびいらあ。
 今あ、晴りてぃ、太陽(でぃだ)ん照(てぃ)とおいびいん。やしが、家(やあ)ぬ中あ、床ん湿気(しち)掛(が)かいし、ふみちょおいびいくとぅ、除湿機(じゅしちち)かきとおいびいん。

 天気予報(てぃんちゆふう)しえ、夕さんでぃまんぐるから夜(ゆる)にかきてぃ、雨んでぃちょおいびいしが、ちゃぬ風儀(ふうじい)がやいびいら。
【語句】
我が覚い せえ=私の記憶 では。「我が覚えなかいや」とも言う。
宣言さる日=宣言した日。
いいくる=たいてい。おおよそ。
雨え 降いびらんたん=雨は 降らなかった。
近頃お=近頃は。
でえ言ゃびらな=とは言いませんで。非丁寧文は「でえ言ゃな」。
梅雨 んかい 入っちょおん でぃ、思ありいん=梅雨 に 入っている と、思われる。「でぃ」は通常は「んでぃ」だが、前語の語尾も「ん」なので略されている。もっとも、「でぃ」だけでもまかり通っている。
でぃちどぅ 言ちょおいびいしが=と(こそ)、言っているのですが。「どぅ」は前語を強調する助詞で、通常の文では後にくる用言は連体形で結ぶが、「言ちょおいびいしが」と疑問詞で終わっているので、連体形で結ぶ法則は吹っ飛ぶのである。
降とおいびいたしが=降っていましたが。
梅雨んでえ=梅雨とは。
うちなあぐち しえ=沖縄語 では。
でぃちる 言ちょおいびいしが=と(こそ)言うのですが。「る」は前語を強調する助詞「どぅ」の清音。後の動詞が疑問文となっている場合などは連体形とはならない。
あんし今日や=そして今日は。
うぬ「梅雨入いんでぃ思ありいる日」なとおいびいん=その「梅雨入りと思われる日」になっています。非丁寧文は「~なとおん」。
さてぃ=さて。
雲たい晴りたいそおいびいしが=曇ったり、晴れたりしていますが。非丁寧文は「~そおしが」。
雨え、なあだ降てえ居いびらん=雨は、まだ降ってはいません。非丁寧文は「~居らん」。
くぬ後、降いがさびいらあ=この後降るのでしょうか。非丁寧文は「降いがすら」。
今あ晴りてぃ=今は晴れて。
太陽ん照とおいびいん=太陽も照っています。非丁寧文は「照とおん」。
やしが、家ぬ中あ=けど、家の中は。
床ん湿気掛かい し=床も湿気を帯び て。
ふみちょおいびいくとぅ=蒸し蒸ししているので。非丁寧文は「ふみちょおくとぅ」。
除湿機かきとおいびいん=除湿機をかけています。非丁寧文は「~かきとおん」。
天気予報しえ=天気予報では。「天気予報なかいや」ともいう。
夕さんでぃ まんぐる から 夜に かきてぃ=夕方 ごろ から 夜に かけて。
雨んでぃちょおいびいしが=雨だとのことですが。「雨んでぃ言ちょおいびいしが」の「言」が取れて、慣用的な使い方になっている。非丁寧文は「雨でぃちょおしが」。
ちゃぬ風儀がやいびいら=どうなのでしょうか。非丁寧文は「ちゃぬ風儀がやら」。

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日本国憲法(抜粋)   

【注1】琉球漢音は近年は、日本語の影響を受けて、特に学校(ぐぁっこう)、正月(しょうぐぁち、そうぐぁち)などに見られるように「変音法則」にブレが見られるようになりました(分かりやすくいえば、下記のようなごく一部の音について日本漢音のまま使用すること)。
 特に、O→Uへ変音するという「音変換法則」についてにブレが見られ、O→Oへの変音が大勢を占めるようになりました。
 最近は、私は慣用化してしまった「非琉球漢音」以外については、なるべく、琉球漢音の原則に従うように徹底するようにしていますが、「日本国憲法(抜粋)」の訳文を書いた1999年当時は、まだ、「大勢主義」であり、ブレの優勢音にしたがっていた頃の作品ですので、そのことを念頭に、お聞ききいただきたい。
【注2】「漢音」とは中国語を起源として漢字使用文化圏のそれぞれの国や地域の言語と化した「漢語」の発音について言います。日本語で「日本漢音」という場合は漢字の音読みのことです。漢音には他に朝鮮漢音、ベトナム漢音などがあります。ベトナム語のように漢字使用をやめた言語にも漢音だけは残っています。例:越南=ヴェトナム、北京語(中国漢音)では「ユエナン」

 日本国民や、まっとおうばに選挙さっとおる国会うとおてぃぬ代表者、通(とぅう)ち行動し、我達(わったあ)とぅ我達ぬ子孫(くゎんまが)ぬたみなかい、総国民とぅぬ協和なかいぬ成果とぅ、我達国全土んかいわたてぃ自由ぬむたらする恵幸、確保さあに、政府ぬ行為なかい又ん戦(いくさ)ぬ惨禍ぬ起(う)きゆるくとぅぬ無(ね)えらんねえしするくとぅ胆(ちむ)ちわみてぃ、くまんかい、主権ぬ国民んかい在るくとぅ、うんぬきてぃ、くぬ憲法、定みゆん。むとぅから国ぬ政治や、国民ぬ厳粛やる信託さあになとおるむんどぅやる、うぬ権威や国民んかい由来(ゆれえ)し、うぬ権力お国民ぬ代表者ぬ行使さあに、うぬ福利え国民ぬ享受すん。くりえ人類普遍ぬ原理どぅやる、くぬ憲法やあんそおる原理んかい基ぢゅるむぬやん。我達や、うりんかい反する憲法、法令うりから詔勅お諸、外(は)んちゅん。
 日本国民や、十百年(とぅむむとぅし)ぬ平和、願(にが)てぃ、人間(にんじん)互え(たげ)ぬ関係、かげえゆる崇高やる理想、深く自覚するむんどぅやる、平和、敬ゆる諸国民ぬ公正とぅ信義、信頼さあに、我達安全とぅ生存、保(たむ)ち行かんでぃ胆ちわみたん。我達や、平和、保ち、専制とぅ隷従、厭迫とぅ偏狭、地上から十百年、取(とぅ)い退(ぬ)きらんでぃ、はまとおる国際社会うとおてぃ、光(ふぃかり)ある分んかい就かんでぃ思(うみ)ゆん。我達や、全世界ぬ国民ぬ、いぬぐとぅ恐怖とぅ欠乏から逃りてぃ、平和ぬうちなかい生ちち行ちゅる権利、持っちょおるくとぅ確認すん。
 我達や、まあぬ国家ん、自(どぅう)ぬ国ぬくとぅびけえんし、ゆすぬ国、見(ん)だん事ぬあてえならんどぅある、政治道徳ぬ法則お普遍的なむぬんやい、くぬ法則んかい従ゆるくとぅお、自ぬ国ぬ主権、維持さあに、ゆすぬ国とぅ対等関係んかい立たんでぃする各国ぬ債務どぅやるんでぃ信じゆん。
 日本国民や国家ぬ光んかいかきてぃ、全力あぎてぃ、くぬ崇高やる理想とぅ思道、達成するくとぅ誓ゆん。
(略)

第二章 戦争ぬ放棄
第九条【戦争ぬ放棄、軍備とぅ交戦権ぬ否認】(1)日本国民や義とぅ秩序、基とぅする国際平和、真胆(まじむ)に望でぃ、国権なかいする戦とぅ、武力なかいぬ威嚇、又、武力ぬ使ゆしえ、国際紛争、はんしゅる手段とぅしえ、十百年、ちゃん投ぎゆん。
(2)前項ぬ目的、叶ゆるたみ、陸海空軍うぬ他ぬ戦力お持ったん。国ぬ交戦権や認みらん。

第三章 国民ぬ権利とぅ義務
第一〇条【国民ぬ要件】日本国民やる要件や、法律なかいくり、定みゆん。
第十一条【基本的人権ぬ享有】国民や、諸ぬ基本的人権ぬ享有、妨ぎららん。くぬ憲法が国民んかい保障する基本的人権や侵するくとぅぬならん十百年ぬ権利とぅさあに、今とぅ後々ぬ国民んかい与いらりゆん。
(略)

第一三条【個人ぬ尊重とぅ公共ぬ福祉】諸ぬ国民や、人とぅさあい、尊ありゆん。命(ぬち)、自由うりから幸福追及するくとぅんかい対(てえ)する国民ぬ権利にちいてぃえ、公共ぬ福祉んかい反さん限(かじ)り、立法うぬ他ぬ国政するばすに、最大ぬ尊重、入要(いりゆう)とぅすん。
(略)

第二四条【家族生活うとおてぃぬ個人ぬ尊厳とぅ両性ぬ平等】
 にいびちえ、両性ぬ合点びけえなかい基ぢち成てぃ、夫婦ぬいぬ権利、持っちょおるくとぅ、基とぅし、互えぬ胆揃(ちむずり)いなかい、むとぅうちいかんでえならん。
(略)

第三四条【抑留・拘禁ぬ要件、不法拘禁んかい対する保障】 誰(たあ)やてぃん、ちゃあき理由(わき)、言やってぃ、あんし、ちゃあき弁護さあんかい頼むる権利、呉ぃららんでえ、かちみらったい又込(く)みらったいしえならん。又、誰やてぃん、まっとおばな訳理ぬ無えらんでえ、拘禁やさらな、望みぬあれえ、うぬ訳え、ちゃあきうぬ人とぅ、うぬ弁護さあが出じゆる公開ぬ法廷うとおてぃ見しらんでえならん。
(略)

第六七条【内閣総理大臣ぬ指名、衆議院ぬ優越】(1)内閣総理大臣や、国会議員ぬ中から国会ぬちわみ事さあに、指名すん。くぬ指名や、他ぬ諸ぬ案件やか先(さち)に、さんでえならん。
(以下略)

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